「経理や税金が分からない」のは普通のことと思っています

税理士としてお客さまとお話ししていると、時おり、少し恥ずかしそうに「会計や税金のことが、全く分からなくて……」という方がいます。

謙遜なのかもしれません。

簿記や会計、税金のことが分からないというのは、ごく普通のことと思っています。

他分野のことはわからない

確かに私は、税金や会計について一とおりの知識は持っています。
しかし一方で、お客さまが日々取り組まれている仕事については、まったくの素人です。

私のお客さまが普通にしている

  • オーダーを受けて、テキパキと調理する飲食業
  • 金属を加工して機械部品を製造する製造業
  • 自動車を点検し、不具合を直す自動車整備業
  • 電気設備の工事業

といったことは、私には到底真似できません。

趣味であればできるかもしれませんが、仕事のレベルにはとても到達できそうもありません。
高度な技術や長年の経験が必要なことです。

ご本人にとっては「当たり前のこと」かもしれませんが、私から見れば、驚くべき「プロの仕事」です。

社会は「得手不得手」で回っている

結局のところ、すべては「得意な分野と、そうでない分野がある」という違いにすぎないのだと思います。

人にはそれぞれ得手不得手があり、お互いに自分の得意なことで誰かの不得意を補い合う。
そうやって社会は回っているように感じています。

  • お客様は、ご自身の事業という専門分野に集中する
  • 税務や会計という分野は別の専門家が支える

という関係性だと思います。

「簿記がわからない」「数字が苦手」ということは、決して悪いことではありません。
長年事業に専念されていれば、そこまで手が回らないというのは当たり前ともいえます。

「比較優位」という考えも

中には、自動車修理もできれば、税務申告も得意という方もいるかもしれません。
しかし、経済学には「比較優位の法則」という考え方があります 。
これは、「自分が最も得意とする分野に注力した方が、全体として経済的に有利に働く」という法則です 。

例えば、一流のプロ野球選手の中には、もしかしたら簿記が得意な人がいるかもしれません 。
しかし、その選手が自分で帳簿をつけるよりも、簿記は誰かに頼み、浮いた時間を練習やコマーシャル撮影に充てた方が、本人の収入は遥かに多くなります 。

その点からも税理士に依頼するメリットはあると感じています。

本日のまとめ

経理や税金について知識があるに越したことはありません。
それはそれで素晴らしいことです。

しかし、誰にでも不得手な分野というのがあります。
「経理が苦手」「税金がわからない」という方がいても、普通のことと感じています。