財務捜査で覚える違和感 ~ 預金口座(2)

「財務捜査で覚える違和感」も4回目となりシリーズ化してきました。
シリーズ化を目指しているわけではありません。
書いているうちに浮かんできた内容を綴っているだけです。
これ以上思いつかなければ、今回で終了です。

さて、決算書に関しては、粉飾などの不正を見抜く着眼点が紹介されることがあります。
これはこれで大切ですが、財務捜査や従業員不正の発見などについては、帳簿・取引レベルの不審点を見つけることも重要と感じています。
「違和感」という感覚にとどめず、できるだけ言語化できればと思います。

今回のサンプル

今回取り上げるのは、預金口座です。
前回とほぼ同様の取引です。

みずほ銀行の取引と仮定します。

この預金取引の、どこに違和感がある、あるいは、もう少し詳しく調べるべきでしょうか。

私の違和感

この取引で少し深掘りしたいと思うのは、2行目と3行目の取引です。

上に書いたように、この取引はみずほ銀行を仮定しています。
摘要欄のATMに続く3桁の数字は、店舗番号を示しています。

2行目の店舗番号722は、釧路支店。
3行目の店舗番号623は、鹿児島支店。
同じ日の取引なのに場所が全然違います。

もちろん違和感なので、この取引が不正かどうかまでは分かりません。

想定1

朝早く釧路にいて、夕方鹿児島に行くということは不可能ではありません。
ただ、そのようなケースは稀だと思います。
それでも銀行の取引明細に誤りはないはずです。
何かしらの理由があったのだと思われます。

旅行か出張かによって、意味合いが変わってきます。

想定2

もう一つの想定は、代理人カードによる取引です。
銀行にもよりますが、1つの口座に対しもう1枚追加でキャッシュカードを発行することも可能です。

例えば、給与口座が一つの場合、夫と妻でそれぞれカードを持っていた方が便利なことがあります。
代理人カードが発行されていれば、別々の行動なので納得感があります。
可能性としては、この方が高い気がします。

なお、ゆうちょ銀行については、同行のATMであれば通帳単独で引き出すこともできます。
代理人カードでなくても、別々の人がそれぞれ取引をすることが可能です。

本日のまとめ

銀行取引で、取引場所を確認するのは基本的な話です。

給料の入金があったということは、この日は平日です。
この人の勤務先が都内であった場合、休暇か出張で北海道または鹿児島に行っているはずです。

自分の楽天銀行の取引明細を確認すると、コンビニATMの番号まで記載されています。
ここからも取引場所はわかります。

一つ一つ場所を確認するのは面倒と感じるかもしれません。
しかし、預金取引明細がエクセルなどで扱えれば簡単な関数などで検索は可能です。

預金取引明細からわかることは多いと思っています。