カミソリの1本まで始末する覚悟 ~「さいとう・たかを」のインタビューから

先日のブログでは、「カルチャーラジオ NHKラジオアーカイブス 声でつづる昭和人物史」の「さいとう・たかを」の回をWhisperを使い文字起こししてみた話を書いたところです。

番組紹介は、こちらです。

「声でつづる昭和人物史 〜さいとう・たかを」1 - カルチャーラジオ NHKラジオアーカイブス
「わたしの青春ノート」 教育テレビ 聞き手:佐藤敏彦アナウンサーと杉並高校漫画研究会 劇画家のさいとう・たかをは和歌山県の生まれ、終戦後、アメリカのコミック本に夢中になります。家業の理容業を引き継ぎますが、漫画家になるため21歳の時に上京し、仲間たちと「劇画工房」を結成します。昭和62年5月に教育テレビで放送された「わ...

床屋をやめ、カミソリの1本まで始末して劇画家になった話が印象的でした。

文字起こしをした一部を紹介します。

聞き手は高校生

番組は、さいとう・たかをに対するインタビューの録音音源が中心となっています。
聞き手は、佐藤敏彦アナウンサーと杉並高校漫画研究会。

さいとう・たかをが高校生に対し、ゴルゴ13の由来、「正義」と「悪」、そして仕事観などについて語っています。

その中で劇画家になろうとしたときの話が印象的でした。

カミソリ一本まで始末した

「とにかく親に床屋さんに、散髪屋さんにならされることに決められててね。そして床屋さんの学校行かされてなんか嫌でもうほとんど学校行かないでね、みんな仕事アルバイトばっかりしててね。」

~ 略 ~

「(父親は)いろんなことに興味持った人でしたね。絵描きの成り損ない、彫刻家の成り損ない、写真家の成り損ない、役者の成り損ないね。みんな成り損ないであるっていうね。それ見てましたから決心しましてね。何か一つのことにとにかく執着しよう。でなきゃ物にならないだろうと思いましたんでね。だからこの仕事に入ろうと決心した時には床屋を辞めて店叩き売ってしまいましてね。

十八の時ね母親に死なれて。そしてこの仕事入ったわけ。この仕事入る時に、決心してね。もう要するに二度と他のことはすまい。この仕事だけをやろう。たとえ野垂れ死にしてでもこの仕事やろうと決めましてね。カミソリの一本まで始末してしまう。持ってれば、もし食べられなきゃその日の日銭稼ぎに行こうってなるから、ほら。だからそれを考えないでおこうと思ってね。カミソリの一本まで始末してね。この仕事に入った。」

本日のまとめ

さいとう・たかをへのインタビュー。
Whisperがほぼ正確に音声を文字にしてくれています。

恩師東郷先生の話、終戦で正義と悪が逆転したことが作品の原点にある話など、紹介したいエピソードはほかにもあります。

それにしても、未知の劇画家になるとしても、成功の保障はありません。
独立してうまくいかなければ、日銭を稼いだり元の生活に戻ればいいという考えもあります。
しかし、それでは成功は覚束ない。

店を売り、食べられなくなったときに迷いが生じないためにカミソリの一本まで始末する。
成り損ないにはならないと覚悟を決めた。
そのような話が印象的でした。
退路を断たないと大成などできないのだと改めて感じました。

今後再放送などあれば、ぜひ。