財務捜査にしても、税務調査にしても銀行の取引明細は、重要な資料となります。
銀行の取引明細は、客観資料であり、お金の動き、残高推移を見るうえで欠かせません。
このデータを銀行は何年間保存しているのでしょうか。
公式回答
銀行が何年間データを保管しているのかは気になるところです。
過去何年間さかのぼれるかによって、立証の難易度が変わってきます。
銀行のデータが保存されていない過去の取引については調べようがありません。
銀行の回答としては、「10年」というのが基本です。
この10年というのは、会社法に対応しています。
(会計帳簿の作成及び保存)
引用:e-Gov
第四百三十二条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
2 株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。
預金の取引明細は、銀行の元帳に該当します。
この保存期間に合わせて10年という回答になるようです。
不必要にデータを保存している場合、情報漏洩のリスクが生じます。
法定の保存期間を越えて取引記録データをもつメリットは少ないのだろうと思います。
実際には
ただ、実際のところ、銀行が何年間取引を記録しているかはわかりません。
数字と文字で記録されている取引明細は、それほど容量が大きいとは思えません。
すぐに記録容量をオーバーするわけでもないでしょうから、10年超の記録が残っていても不思議ではありません。
これは銀行によってさまざまだと思います。
また、今から20年ほど前では、取引データをマイクロフィルムに保管している銀行も多くありました。
電算化が進んだ現在では、銀行でマイクロフィルムを使うことはないはずです。
ただ、そのようなマイクロフィルムの保管がされているのであれば、10年より前のデータが残っている可能性はあります。
銀行が出すかどうかは分かりませんが。
銀行以外の記録
10年前以上の取引明細が銀行に残っていないとしても、通帳があればそこに記録があります。
例外的な話にはなりますが、通帳などから過去の取引はわかりそうです。
ただ、この資料を入手するには、強制捜査で資料を差押するなどする必要があります。
本日のまとめ
実際のところ、銀行が過去何年分の預金取引データを保存しているかはわかりません。
しかし、公式回答としては「10年」になるはずです。
税務でいえば、時効は最長7年なので、古い記録は必要ないかもしれません。
刑事事件の時効は、詐欺、業務上横領罪では7年なので、これも10年分のデータがあれば十分です。
ただし、殺人事件などに時効はありません。
あとになって銀行資料を入手することは難しくなります。
それだけに、容疑者が浮上した場合、可能な限り捜査の早い段階での資料入手が必要となりそうです。