このところ「闇バイト」による強盗事件が頻発しています。
強盗が重罪であることは、常識として知ってはいますが、実際にどの程度の刑が科されるかについてご存知ない方もいるかと思います。
私も警察に勤務するまで知りませんでした。
刑の決まり方
刑法その他の法律に違反した場合、多くの場合、懲役、禁錮、罰金などの刑罰が科されることになっています。
最も軽いのが科料。
最も重いのが死刑。
法律に違反した場合、条文の規定に基づいて裁判で刑が言い渡されることになります。
刑の減免が適用される場合などを除き、条文に定められた範囲内で実際の刑が決まることになります。
例えば名誉棄損罪の場合、「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。」とあるので、その範囲内での刑が言い渡されます。
強盗殺人の場合
さて、強盗の場合については、次のような条文となっています。
(強盗)
出典:e-Gov
第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
人を傷つけなかったとしても5年以上の懲役となっています。
さらに次の条文もあります。
(強盗致死傷)
出典:e-Gov
第二百四十条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
強盗でケガをさせた場合には、最低でも6年。
強盗で被害者が死亡した場合には、死刑か無期懲役の二者択一。
非常に重い罪になります。
無期懲役と仮釈放
先日も23歳の男が闇バイトで強盗殺人を行ったとして、無期懲役の判決が言い渡されていました。
無期懲役では、よほどのことがないと仮釈放は認められません。
無期刑の執行状況及び無期刑受刑者に係る仮釈放の運用状況について
資料によると令和4年には1,688人が無期懲役刑により服役しており、年間で仮釈放が認められたのはわずか6人。
「無期刑新仮釈放者」の平均受刑在所期間は45年3月。
20代で服役した場合、仮釈放されたとしても約50年後の70歳近くになっています。
今から50年前の1974年は、フィリピン・ルバング島で小野田さんが救出されたり、ジャイアンツの長嶋茂雄選手が引退した年。
私が10歳のときです。
気の遠くなるような年月を服役しなくてはなりません。
本日のまとめ
強盗罪は、
人を怪我させなくても最低5年
人を怪我させたら最低6年
人を死亡させたら無期か死刑
という非常に重い刑だということがわかります。
また、強盗殺人の場合には、死刑もありうるので時効もありません。
仮に逃亡したとしても、一生逃げ続けるのは不可能です。
なお、昨日の日本経済新聞に
「闇バイト応募、警察保護46件 相談促す動画公開後」
との記事がありました。
犯罪に加担する前に抜け出すのが正解です。