公務員の「バレない副業」。
いくつかネット記事を見たことがあります。
内容を見てみると、
- 住民税の徴収方法を「自分で納付」にチェックする
- ペンネームを使う
- 家族名義で活動する
などが紹介されていました。
しかし、実際にはバレて処分を受けている人は多くいます。
どうしてわかってしまうのか。
私のスクラップ帳から分析してみました。
不正がバレるデメリット
公務員の副業・兼業は原則として認められていません。
これは公務員の方なら改めて説明するまでもないことです。
国家公務員法、地方公務員法に規定があります。
公務員に認められているのは例外的な
- 「業」に該当しない行為
- 承認、許可を受けることなく行えるとされる業務
- 兼業申請を行い、許可を得て行う
だけになります。
あるいは、条例により例外的活動が認められることもあるかもしれません。
これ以外の行為は、バレるバレないの違いはあっても法律や職場の規則に反していることになります。
公務員副業を勧めるサイトには「この方法によってバレた人はいません」のようなことが書かれていることもあるようです。
もちろん「当社調べ」です。
たしかに策を講じればバレにくいのかもしれません。
しかし、私の捜査経験から不正が100%発覚しないということはありえません。
仮に1%未満であっても、バレる可能性はあります。
停職、場合によっては懲戒解雇の可能性もありますし、軽いとされる戒告処分でもその後失地回復するのは現実難しいかと思います。
副業・兼業は故意なので、大目にみられることもありません。
兼業で多少稼いだところで、デメリットの方が多すぎです。
副業・兼業をするならば、
- 届出不要の範囲で行う
- 兼業申請を行い、許可を得て行う
のどちらかが王道です。
あるいは公務員を退職して副業を本業とするか。
これも簡単ではありません。
副業がバレた理由
ときどきニュースで公務員の副業・兼業で処分を受けた事例を目にすることがあります。
どうして兼業が発覚したのか。
私のスクラップ帳からピックアップしてみました。
一般からの情報提供
- 報 道 2012年1月
行為者 警察官
内 容 ブログを開設してバナー広告を貼り付け
処 分 減給
発覚経緯 匿名の情報提供
- 報 道 2015年12月
行為者 労働基準監督署職員
内 容 金券ショップで購入した切符の払い戻しによる継続的利益
処 分 停職1か月
発覚経緯 匿名の情報提供
- 報 道 2016年9月
行為者 消防士
内 容 兼業申請せずに不動産賃貸収入7,000万円
処 分 懲戒免職(兼業解消命令に対する不服従)
発覚経緯 住民からの通報
- 報 道 2017年8月
行為者 名古屋市バス運転手
内 容 民泊営業
処 分 減給10分の1(6日)
発覚経緯 近隣住民からの苦情
- 報 道 2021年3月
行為者 市役所課長補佐
内 容 カルチャーセンター講師、テレビ・雑誌への出演
処 分 停職6か月
発覚経緯 職員の知人からの通報
- 報 道 2021年9月
行為者 消防士
内 容 許可なく農作業アルバイトの副業
処 分 戒告処分
発覚経緯 他のアルバイトからの通報
- 報 道 2022年6月
行為者 市立病院女性職員
内 容 無許可で風俗店で勤務
処 分 停職3か月
発覚経緯 市のコンプライアンス推進課への情報提供
職場関係者からの情報提供
- 報 道 2007年6月
行為者 税務署員
内 容 結婚希望者を仲介するサイトをインターネット上で営業
処 分 減給10分の1(1か月)
発覚経緯 同僚から職場への通報
- 報 道 2018年2月
行為者 女性保護観察官
内 容 モデル活動
処 分 減給3か月
発覚経緯 別の職員がインターネットで知り職場へ通報
税務調査
- 報 道 2009年10月
行為者 税務職員
内 容 兼業申請せずに60室を賃貸し、1年間に約2,500万円の家賃収入
処 分 減給10分の2(3ヵ月)
発覚経緯 税務調査
新聞、雑誌報道
- 報 道 2019年7月
行為者 警察官計21人
内 容 警察官昇任試験問題集の執筆
処 分 減給、訓戒、注意
発覚経緯 新聞報道
- 報 道 2022年3月
行為者 経済産業省経済安全保障法制準備室長
内 容 無許可の兼業で報酬を得ていたほか、タクシー券の不正利用など
処 分 停職12か月
発覚経緯 週刊誌報道
他の調査から発覚
- 報 道 2022年10月
行為者 自衛官
内 容 副業関連サイトを通じて、撮影した風景動画や写真を販売
処 分 懲戒免職(他の行為と合わせて処分)
発覚経緯 他人のキャッシュカードを盗んだとする調査の過程
- 報 道 2024年4月
行為者 警察官
内 容 SNSに「いいね」をつける副業
処 分 所属長注意
発覚経緯 捜査の過程
分 析
以上は、私の個人スクラップからの抽出です。
そのときどきに保存した記事なので、時期や内容に偏りがあるかと思います。
多いのが、情報提供。
「匿名」となっているものの中には、職場関係者もいるはず。
職場の同僚は、意外と行動をチェックしているもの。
不用意に漏らした言葉、不審な態度や行動から副業が発覚するのかもしれません。
今後増加すると思われるのが、税務調査によるもの。
近年税務当局は、シェアリングエコノミー関係に対しても調査に注力しています。
ウーバーイーツについて、国税当局が配達員の報酬額や銀行口座などの情報提供を求めていると報道されています。
また、フリマアプリ、ネット通販もチェックをしているはず。
税務調査で指摘があれば、職場も知る可能性が大きくなります。
無申告、脱税等の場合には税法違反でもあるので、兼業禁止とダブルで処分を受ける可能性があります。
本日のまとめ
捜査経験からして、隠し事が「絶対バレない」ということはありえません。
せいぜい、バレる可能性が低い、これまでバレたことがない程度のこと。
100パーセント発覚しないということなど、ありえない話です。