横領の手口の一つに、お客さまから預かった現金の着服があります。
預金取引とは違い現金取引自体に証拠が残らないため、横領が容易にできてしまいます。
集金した資金の着服防止の一つに、ナンバリングがあります。
現金横領
お客さまから預かった現金の横領は、古くからある手口です。
- 現金取引自体に証拠が残らない
- 1件1件の金額は少額
- 個人客の場合、領収書の保管がされていないことがある
というように、現金をポケットに入れやすい環境にあります。
現金横領を防止する方法としてはいくつか考えられますが、その一つにナンバリングがあります。
客先で集金する場合
客先に出向いて集金する場合、
- お客さまに領収書を渡さずに、現金を着服
- 渡した領収書の控を廃棄し、現金を着服
という横領パターンが典型的です。
この場合、現金の受け渡しを立証する唯一の証拠は、領収書になります。
そこで、領収書の管理をきちんと行うことが、不正防止の基本となります。
従って、お客さまに渡す領収書について、
- 複写式
- 会社オリジナル領収書
- 領収書のすべてに一連番号のナンバリングを付す
ことが不正防止につながります。
複写式の控の金額と会社に持ち帰った現金の一致が確認できるうえ、一連番号のナンバリングが付されているため、途中で廃棄することができなくなります。
飲食店等のレジに入金する場合
飲食店等のレジに入金する場合、お客さまからお金を預かっておきながらレジ登録をしないでそのままポケットに入れてしまうという不正が典型的な横領手口となります。
- 閉店直前の人が少ない時間帯
- レジ担当者が複数いる場合
には、このような横領が起こりやすくなります。
こちらも先ほどの客先集金と同様に、オーダー表に番号を付しておきます。
これだけで、レジ登録をしないという不正を防止することができます。
また、オーダー表の合計額は、その日の売上。
キャッシュ・オンリーの店ならば、1日の現金増加額と一致することになります。
本日のまとめ
「現金その場限り」と言われるように、現金取引は証拠が残りません。
そこで「領収書」「オーダー表」といった、現金取引に付随する書類の管理が重要になります。
その一つがナンバリングです。
もちろん、ナンバリングをすればすべての現金横領が防止できるわけではありません。
ナンバリングに加えて
- 客先集金ならば、請求書発行担当者と集金担当者の分離
- 飲食店でレジを使用しているならば、レジ担当者の登録と随時の現金残高チェック
など、他の方策と組み合わせて効果をあげることになります。