経理担当者の不正を防止するためには、ジョブローテーションが有効と言われています。
ジョブローテーションで担当が変われば不正が発覚してしまうため、不正の発見と防止に効果的であることは確かです。
不正対策以外にも、他部門の業務を担当することで、仕事に幅が出てくるというメリットもあります。
大企業であれば、人事異動で別の部署から経理部に異動させることができるかもしれません。
しかし、人数の少ない中小企業にとって、ジョブローテーションは簡単なことではありません。
ジョブローテーションによる不正防止
経理担当者が複数いるのであれば、経理課内で、例えば記帳と出納の担当者を定期的に変えることで不正の防止を図ることができます。
さらに大きな会社であれば、人事異動によって他部署から経理課に配属することも不正防止の観点からは効果的といえます。
もちろん不正防止という点だけでなく、別の部署を体験することは、業務の幅、深みが増すなどのメリットもあります。
また、従業員の業務適性を知る上でも、別部署・別業務の体験は役に立ちます。
中小企業の現実
しかし、中小企業の場合、ジョブローテーションは簡単なことではありません。
経理業務は、「帳簿付け」であり、機械的に誰でもできると考える方も多くいます。
しかし、実際の経理業務は、
- 帳簿の作成
- 領収書、請求書等の整理
- 入金、支払の期日管理
- 支払い手続き
- 銀行提出資料の作成
- 税理士とのやり取り
など、多岐にわたっています。
経理を一人で行っている会社の場合、他部署から異動させることは簡単なことではありません。
退職が予定されているなどのやむを得ない場合を除き、経理を変えることは難しいのが現実です。
現実的なジョブローテーション
ところで、経理が一人であっても、必ずチェック者は置かれているはずです。
不正防止の基本は、一人ですべてが完結できないようにすることにあります。
特に支払いに関しては、このチェックを適正に行う必要があります。
- 通帳と印鑑を別管理
- 担当者が作成した支払いデータを上司がチェック
- 担当者が数えた現金を上司が確認
- 帳簿と通帳を上司が照合
- 支払先と支払内容を上司が確認
など、上司のチェックは必須です。
経理担当者のジョブローテーションが難しい場合、チェックをする上司をジョブローテーションする方が現実的です。
上司が常に同じ場合、業務がマンネリになり、チェックがおざなりになりがちです。
ときには、上司が変わり、異なる視点から経理業務を見ることが、不正防止につながります。
幹部職員が経理を業務を経験し、数字で会社を見ることは経営の管理、把握にも役に立つことです。
本日のまとめ
ジョブローテーションにより経理担当者を変えることは、不正防止に有効です。
しかし、それが難しい中小企業の場合、上司をジョブローテーションするなど視点を変えてみるのも一つの方法になります。
合わせて、上司も経理に関する研修を受ければ、不正防止だけでなく幹部の知見も高まることが期待できます。