銀行預金口座から不正に現金を引き出されないようにするためには、通帳と印鑑の管理者を別にすることが基本となります。
ところで、「印鑑を金庫で管理しているから大丈夫」と思っていても、その金庫の管理がしっかりしていないと意味がありません。
金庫に入れてあれば大丈夫ということにはなりません。
印鑑と通帳の管理の基本
銀行預金口座から会社の資金が不正に引き出されないようにするためには、印鑑と通帳を別々に管理するのが基本となります。
特に、印鑑の管理は重要です。
そして、この印鑑は金庫で保管することになります。
通常、会社には備え付けの金庫があり、この中にさらに印鑑を保管する小さな金庫があるはずです。
なお、やむを得ず、キャッシュカードを利用する場合の不正防止策は、こちらのブログもご参照ください。
金庫は誰が開けられるのか
大きな金庫があり、さらにその中に金庫があり印鑑などが収められていれば、管理はしっかりしていると考えがちです。
ただし、金庫を開けられるのが一人である場合です。
職場での横領事件を詳しく調べると、多くの人が金庫の番号を知っていることがよくあります。
誰でも金庫を自由に開けられることが珍しくありません。
- 管理者である部長が不在がち
- いちいち頼むのが面倒
- うちの会社には悪い人間はいない
- 信頼している
といった理由から、金庫へのアクセスが緩いということはよくあるケースです。
金庫管理の基本
金庫管理の基本は、一人しか開けられないことです。
管理者が不在がちの場合には、もう一人の同職者以上を別途置き、その都度鍵を預けるなど厳格な管理が必要です。
通常、銀行印を管理するのは経理部長、経理課長であるかと思います。
長時間外出する仕事ではありませんし、印鑑が急に必要になるケースというのはあまり想定できません。
「開けられなくなったら困る」という事態はそれほど多くないはずです。
必要以上に金庫にアクセスできる人を増やすのは望ましくありません。
さらにこのような工夫も
会社の金庫は、重要物品が管理されています。
金庫を開けられる人を限定することに加え、次のような工夫も考えらます。
- 金庫を部長の背後に置くなどして、物理的なアクセスを難しくする
- 防犯カメラを置く
- 出し入れの都度金庫の鍵をかける(金庫を開けっぱなしにしない)
- 鍵の番号を定期的に変更する
- 他部署と金庫を共用している場合、金庫を分ける
- 金庫の出し入れ回数を少なくするため、不要な物を金庫に入れない
- 手形、小切手の振出等、銀行印を押す業務を減らす(現在では少ないと思います)
会社の業務に合わせ、工夫を重ねればよいかと思います。
本日のまとめ
会社の金庫を複数の人が開けられるということであれば、金庫本来の意味がありません。
もちろん、夜間・不在時の盗難といったことは防止できます。
しかし、社内の不正はこれでは防げません。
金庫に入れてあることと、管理されていることとは別の話です。
金庫にアクセスできる人数を最低限、できれば1人+緊急対応者にするなどして管理を徹底することが不正防止の基本となります。