先日の報道によると、大手生命保険の営業担当者が顧客に対し、架空の投資話で顧客から約2億円をだましとっていたとのことです。
社名入りの偽造領収書まで交付していたそうですから、被害者は勤務先の正規商品だと信じ込んでいたと思います。
実在しない商品なので、ネットで検索されればすぐにバレそうです。
しかし、検索でヒットしないことが、信憑性を増すことにもつながっています。
保険営業担当者による詐欺事件
保険会社の営業職員による架空投資詐欺は多いと感じています。
2020年には、別の大手生命保険でも架空の投資話による約19億円の詐欺事件が起きています。
保険営業は、顧客との人間関係がベースにあります。
信頼している担当者から「いい話がある」と言われれば、話を聞いてみたくもなります。
「あなただけ」「特別枠」とも説明されます。
試しに投資をすると、約束どおりの配当金が振り込まれてきます。
実際には、この「配当」は、新規に騙した顧客からの入金が原資となっています(ポンジ・スキーム)。
有利な金融商品が口コミで伝われば、申し込みも増えていきます。
新規の投資が続いていく限り、配当原資には困りません。
もちろん詐欺ですから、資金がなくなった時点で破綻を迎えることになります。
ネットに出ないのが「特別」の証
当然、顧客の中には商品の有利性に疑問を抱く人もいます。
このところ金利が上昇局面にあるとはいえ、不自然な利回りを疑問に思うことは当然です。
嘘の金融商品だから、調べれば簡単に不正が露見するはずです。
実際にネットで検索しても、そのような商品は出てきません。
普通ならそこで「怪しい」となり、問い詰められた詐欺師も困るはずです。
しかし、営業職員の答えは、
「これは特別な方にしかご案内していない商品なので、ネットには出ないんですよ」
というもの。
こう言われると、「ネットに出てこない」「本社に聞いても否定される」という事実が、かえって信憑性を高める結果となってしまいます。
実在しないことの確認が、皮肉にも騙すための武器に使われてしまうのです。
本日のまとめ
実在しない資金を特別に提供すると騙る手口として「M資金」もあります。
「あなただけ」「特別に」という話には、魅力的ではありますが、現実に存在するものではありません。
およそ実現しそうにない話は、最初から信じないのが一番の防衛策といえると思います。


