告訴事件捜査終結と処分意見

昨日のニュースによると、女性2人にわいせつな行為をしたなどとして告訴されていたサッカー選手について、警察はこの選手を地検に書類送検したとあります。

また、あわせて、地検は不起訴とする公算が大きいとあります。

警察捜査が終わったあとの送検と、処分意見に関する内容です。

書類送検とは

今回の事案では、サッカー選手は被告訴人として告訴をされているため、警察は捜査が終了したら速やかに事件を検察官に送付することになります。

告訴事件については、警察側で事件送付をしないということはできません。

選手が逮捕されているのであれば書類と身柄を検察官に送致することになります。
しかし、この事件では逮捕がされていないため、書類のみを送付したことになります。

これが書類送検です。
これにより警察での捜査が事実上終了したことになります。

処分意見とは

ところで、今回の事件について、検察官が起訴しない公算が大きいとは、どうして分かるのでしょうか。

被告訴人を起訴、つまり、裁判にかけるかどうかを判断できるのは検察官です。
書類送検をした時点で、検察官が起訴しないことを見通せるのかという疑問が生じます。

この点については、おそらく送検時に処分意見を「然るべく」としたのだろうと思われます。

警察が検察官に事件を送付する際には「送付書」を作成しますが、「情状に関する意見」として最後に「処分意見」を付すことになっています。
これが検察官が起訴・不起訴を決める判断材料の一つとなります。

犯罪捜査規範に規定があります。

(送致書及び送付書)
第195条 事件を送致又は送付するに当たつては、犯罪の事実及び情状等に関する意見を付した送致書又は送付書を作成し、関係書類及び証拠物を添付するものとする。

出典:e-Gov

処分意見には次の4つがあります

  1. 厳重処分
    検察官に起訴を求める場合
  2. 相当処分
    起訴・不起訴が微妙な事件であり、検察官に起訴判断を委ねる場合
  3. 寛大処分
    犯罪の嫌疑はあるものの、偶発的であったり被害回復がされているため、起訴猶予が相当と認める場合
  4. 然るべく措置
    捜査の結果犯罪の疑いがないなど不起訴が相当と認める場合

もちろん「処分意見」といっても警察側の勝手な意見ではありません。
捜査結果をもとに根拠を持って示す必要があります。
検察官は警察の処分意見を参考に、起訴をするかを決めることになります。

今回の事案では不起訴の公算が大きいとあるため、処分意見を「然るべく」で送ったものと思います。

本日のまとめ

書類送検というと、何か悪いことをしたような印象を受けますが、告訴事件では必ず行われる手続です。
また、送付時には「処分意見」も付され、検察官が起訴・不起訴を判断する一つの材料となっています。

告訴事件の流れを理解する上で、参考となる報道でした。