預金口座に入金された資金の流れを追跡するのは、簡単なように思います。
資金の流れなので、資金使途といってもいいかもしれません。
預金口座に入金された資金が何に使われたのか。
通帳を見れば出金はわかるはずです。
例えば、
5月1日に預金口座に生命保険金3,000万円が入金された
という場合、その後の出金が資金使途になります。
しかし、中には判断に迷う事例もあります。
事例1 基本の流れ
預金口座に入金された資金の使途は、通帳をみて出金先を確認すればわかります。
預金通帳には、日付、出金、入金、残高、摘要が記されています。
ゆうちょ銀行の通帳は、他の銀行と違って、入金、出金の順です。
ここでは、ゆうちょ式に入金、出金の順で書いていきます。
さて、5月1日に入金された生命保険金3,000万円の使途を追うとします。
日付 | 入金 | 出金 | 残高 | 摘要 |
---|---|---|---|---|
2024-05-01 | 30,000,000 | 30,000,000 | 生命保険金 | |
2024-05-03 | 30,000,000 | 0 | 振込 ○○不動産 |
3,000万円入金され、同額が振込されています。
このような取引であれば、○○不動産への支払いが使途になります。
では、次の場合は、どうでしょうか。
日付 | 入金 | 出金 | 残高 | 摘要 |
---|---|---|---|---|
2024-05-01 | 30,000,000 | 30,000,000 | 生命保険金 | |
2024-05-03 | 30,000,000 | 0 | 振替 当座預金 |
普通預金に入金された資金が、同じ人の当座預金に振り替えられています。
同じ人がもっている預金口座間の振替なので、自分の財布の中で資金が移動しただけです。
このこの場合には、振替られた先である当座預金からの出金を使途と考えるべきです。
つまり、自分の財布から出たお金が使途になります。
事例2 残高がある場合
先ほどの事例では、保険金が入金される前の残高はありませんでした。
入金後の出金を使途とすることができます。
次の場合はどうでしょうか。
ここでも5月1日に入金された保険金3,000万円の使途を考えます。
日付 | 入金 | 出金 | 残高 | 摘要 |
---|---|---|---|---|
2024-05-01 | 30,000,000 | 70,000,000 | 生命保険金 | |
2024-05-03 | 30,000,000 | 40,000,000 | 振込 ○○不動産 |
5月1日に3,000万円が入金される前に、すでに預金残高が4,000万があります。
この場合、5月3日の出金について、
- 入金3,000万円と同額なので、保険金の使途と判断する
- すでに4,000万円あったので、4,000万円の使途であり保険金の使途にはならない
- 4,000万円と3,000万円の比で、按分する
のいずれも成り立ちそうです。
事例3 使途の追跡中別の入金があった場合
日付 | 入金 | 出金 | 残高 | 摘要 |
---|---|---|---|---|
2024-05-01 | 30,000,000 | 30,000,000 | 生命保険金 | |
2024-05-03 | 10,000,000 | 20,000,000 | 振込 ○○不動産 | |
2024-05-05 | 25,000,000 | 45,000,000 | ××商事 | |
2024-05-07 | 7,000,000 | 38,000,000 | 振込 山田太郎 |
5月1日の生命保険金入金の使途を追っている途中に、××商事から入金があった場合です。
5月3日の1,000万円の振込は保険金の使途とできます。
でも、5月7日の7,000,000万円の振込は、生命保険金の使途とするべきなのか判断に迷います。
5月5日に入金された2,500万円の使途とも見ることができます。
本日のまとめ
事例2、3はすっきり割り切ることは難しいところです。
事例2の場合は、生命保険金が入る前の4,000万円の理由から考えたいところです。
ずっと前から残高があったのならば、その残高は考えずに5月1日の入金から使途を追うことになります。
また、不動産会社への支払なので、契約は以前にされていたはず。
保険金が入金されたら払いますという約束があったなら、保険金の使途です。
事例3は、先入れ先出しか、後入れ先出しかどちらかに統一したいところです。
平均法だと後ろに行くほど収集がつかなくなります。
これ以外にも預金口座のバリエーションはさまざまで、実際に使途の特定をするのは難しいなと感じます。