意外と多い銀行員の詐欺事件

2025年6月23日に、三菱UFJ銀行が新潟支店元行員による詐取事案を公表しました。

https://www.bk.mufg.jp/news/news2025/pdf/news0623.pdf

架空の金融商品を持ち掛け1名の顧客から3,984万円余りの現金を騙し取っていたという事案です。
貸金庫事件に次いで発覚した不祥事ですが、銀行員が顧客から現金を詐取する事件は少なからず発生しています。

意外と多い銀行員の不正

今回の三菱UFJ銀行以外でも銀行員による顧客に対する詐欺や横領事件は意外とあります。
手元のスクラップファイルを確認してみると、次の記事がヒットします。

2015年5月 みずほ銀行 架空投資話により顧客から1億500万円を詐取事件で初公判
2019年5月 スルガ銀行 顧客の定期預金から1億1300万円詐取事件に実刑判決
2024年10月 群馬銀行 顧客からの預り金5,000万円を着服発覚

金融機関を保険会社まで広げると、次のような事件もありました。

2020年11月 第一生命 架空投資話で19億5,100万円を詐取した事案について報告書を公表
2024年6月 プルデンシャル生命保険 投資運用名目で顧客から計約7億5,000万円を集金

少し古い事件ですが、1998年には、富士銀行員が顧客から預かった資金を他社への融資金に回し(浮き貸し)、これが露見することを恐れて顧客を殺害したという事件も発生しています。

金融機関の信用

詐欺とは、相手を騙すこと。
そのときに必要になるのは、「信用」です。

詐欺を行うには、社会的信用が何よりも重要です。
誰だかわからない人にお金を渡す人はいません。

仮に何のバックグラウンドもない詐欺師の場合

  • 有名人を起用した広告
  • 架空の「実績」を強調する
  • 著名会社名と類似した社名を付ける

などで社会的信用を作る必要があります。

ロマンス詐欺では「軍のパイロット」「医者」「外交官」などの肩書が使われるようです。

銀行員は、このような信用を作り出す必要はありません。
銀行員であること自体が信用となっています。

社会的信用

一般的に銀行員は、「堅い」「真面目」というイメージがあります。
実際にそのような人が多いと思います。
採用もきちんと行われているはずですし、社内ルールも厳格に定められています。
スーツを着て、態度も真面目です。

銀行という信用力、銀行員としての真面目なイメージに加え

  • 一般には発売していない金融商品
  • あなただけへ紹介
  • 銀行の応接室
  • 銀行のロゴや、印影

などが揃えば、お金を渡してしまうのもわかる気がします。

本日のまとめ

社会的信用を備えている銀行員は、詐欺に必要な信用を作り出す必要がありません。
銀行員が顧客を騙す事件の背景には、そのような状況もあるように思います。

もちろん実際に詐欺を行う銀行員は、きわめて稀な例外的存在です。
とはいえ、銀行員からの不自然な投資話などには安易にのらないのが一番です。