資金移動表のつくり方

預金口座間の資金移動状況を作成する場面はままあります。
例えば、相続税の申告では被相続人名義の預金の動きを調べることがあります。
特に亡くなる直前に資金が引き出されている場合、どの口座へ移されどのように費消されたを把握しておく必要があります。

また、財務捜査でも、資金の流れを調べるために移動状況表を作成します。

資金移動表とは

資金移動表とは、ある口座から他の口座へ資金が移動している状況を示すものです。
口座が複数ある場合に、その入出金の状況を明らかにします。

完成形はこのような感じです。
グループ企業で資金を回すような取引を想定しています。

つくり方

つくり方といってもそれほど複雑ではありません。

データを入力する

まずは、預金取引データを作成するところからはじめます。
通帳の形式に沿ってエクセルに入力するだけです。
入力ミスを発見しやすくするために、残高欄は計算式(前残+入金-出金)とします。
ネットバンキングのデータであれば、csvでインポートすればいいだけです。

元データをコピーし、作業用のシートを作成する

入力した預金取引データを資金移動表とするには、列の移動や数値の値貼り付けを行います。
また、作業の失敗もあるかもしれません。
まず、元データをコピーし、作業用のシートを作成します。

なお、元データが入力されているシートが何枚もある場合、シート名を右クリックして「すべてのシートを選択」または「Ctrl」キーを押しながらシート名をクリックして複数シートを選択すると一度に作業ができます。

列を整える

作業用のシートを作成したら、出金と入金の順番を統一します。
ゆうちょは「入金・出金」、それ以外の銀行は「出金・入金」が一般的です。
資金は左から右に流れるのが自然なため、「入金」「出金」の順にしています。

残高を値貼り付けする

残高が計算式となっていると、資金移動表にした際に計算結果が崩れてしまいます。
残高を値貼り付けして数値を固定します。

列を整える

次に、各シートの列を資金移動表に合わせて整えます。
例えば、今回のサンプルでは銀行は3行あるので、
A列 … №
B列 … 日付
C・D列 … 1つめの銀行入出金
E・F列 … 2つ目の銀行入出金
G・H列 … 3つ目の銀行入出金
I列 … 残高
J列 … 摘要
となるように列を整えます。

例えば、2つ目の銀行データはこのような感じになります。

資金移動表として1枚にし、日付順に並び替える

すべての銀行データの形式を整えたら、これを1枚のシートに貼り付けます。
最後に日付順に並び替えれば、資金の移動状況があきらかになります。

色塗り、メモなどの加工

必要があれば、資金移動状況を色塗りをしたり、矢印で示すなど加工をします。
今回のサンプルでは、B社がA社に振り込む際に振込人の氏名を変更しているので、その事実を書いてもいいかもしれません。

本日のまとめ

財務捜査では資金移動表の作成は、日常的に行っていました。
今回は口座数が3つですが、複雑な資金移動となると口座数が10を越えることもでてきます。
また、対象期間も長期に渡ることもあります。

  • A3用紙を横に使い、文字を小さくする
  • 余白を最小限にする
  • 大きな金額だけに絞って作表する

など工夫が必要になることもあります。

今回は、調査・捜査で利用場面が多い資金移動表について紹介しました。