税理士受験科目に酒税・国税徴収法を選んだ理由

今年も税理士試験の時期がきました。
私が合格したのは、平成9年。
はるか前のことですが、今での受験当時のことはよく覚えています。

税理士資格を得るには、

  • 税理士試験5科目に合格
  • 大学院に進学し一部科目について免除を受ける
  • 税務署OB
  • 公認会計士が税理士登録を行う

などがあります。
このうち私は、税理士試験5科目合格で取得しました。

5科目の内訳は、財務諸表論・簿記論・法人税法・酒税法・国税徴収法です。
このうち、酒税と国税徴収法はミニ税法と呼ばれるようです。

酒税法・国税徴収法のメリット

ボリュームが少ない

税理士試験に合格したのは、平成9年。
今から27年前のことです。
当時33歳。
4年間で合格したので、29歳が初受験となります。

ところで、その頃私は普通に会社員として勤務。
それほど忙しい職場ではありませんでしたが、週5日勤務。
残業もある普通の会社でした。

定時に仕事が終わったとしても、8時間勤務+往復の通勤で10時間は仕事のための時間です。
そうなるとボリュームのある税法科目の勉強時間を確保するのは厳しくなります。

法改正が少ない

税理士試験は、それぞれの科目の合格率は1割強。
受験した年に必ず合格するとは限りません。
何年かかけてチャレンジせざるを得ない場合、法改正があればその対応も必要になります。

法人税、所得税は毎年のように法改正があります。
相続税も定期的に。
また、最近では消費税の法改正が顕著です。

一方、酒税法には大きな法改正を聞いたことがありません。
確かに税率の変更はありますが、そこは試験で重要なポイントではありません。
試験の中心は、原材料と製法から酒類の品目を判定するところにあります。
酒税率の変更はあっても、酒類の判定は大きく変わりません。

また、国税徴収法については、計算問題がなく理論問題だけ。
出題傾向も安定しています。
法改正をそれほど考慮しなくて良いのが酒税と国税徴収法のメリットです。

何回転もできる

同様に、酒税法、国税徴収法は、ひととおり学習するのに時間が短くて済みます。

これは働きながら勉強をするうえで大きなメリットです。

試験勉強は、試験範囲の問題を何度も解き記憶を定着させる必要があります。
これは税理士試験に限らず、すべての資格試験に共通のことです。
ボリュームのある税法を1回転させる間に、酒税なら3回転させることができてしまいます。

デメリット

実務に直結しない

これはそのとおりです。
酒税法を勉強しても、税理士実務で酒税を扱うことはまずありません。

実務で使う税法科目を勉強して、将来に役立てるというのは理にかなっています。
試験勉強で学んだ体系と基礎は、実務でも役立つはずです。

しかし、税法の勉強は試験勉強でないと身につかないわけではありません。
税理士資格を得たあとで、受験勉強同様に勉強をすることも可能なはずです。

逆に、試験勉強で学んだとしても、その後なにも勉強しなければ古い知識が維持されるだけです。
要は、学習を受験時に行うか、合格後に行うかの違いのように思います。

簡単ではない

酒税法、国税徴収法は学習時間が短いといっても、同じ科目の受験生に共通です。
両税法とも合格率は他の税法科目と大きく変わってはいません。
少ない受験者間での競合となり、簡単に合格できるわけではありません。

酒税法も国税徴収法も試験範囲が狭く、小さなミスが致命傷となるため完璧さが要求されます。

酒税法の場合、酒類の判定で大きく間違えると、その後の問題でカバーするのはかなり厳しいといえます。
ボリュームが少ないからといって楽に合格できるわけではありません。

本日のまとめ

社会人は勉強時間がとれないため、酒税法・国税徴収法等の科目選択も検討できるかと思います。
あるいは、他のミニ税法も良いかもしれません。

受験科目の選択は、税理士試験を左右する重要な要素です。
得意な科目、好きな科目、実務に直結する科目等考慮する要素はさまざまです。
酒税法、国税徴収法もその選択肢に入れていただければと思います。