不正の伝染

社内不正は、伝染することがあります。
社内に蔓延させないためにも、

  • ルールをつくる
  • 機会をなくす
  • チェックをする

という対策が必要です。

前任者から後任者へ

会社の前任者から後任者へ不正が引き継がれることがあります。
前任者が不正な処理方法を次の担当者へ伝えるため、長年にわたる不正となりがちです。

過去から現在に至るまで、不正の引き継ぎは、実際よく耳にします。

総会屋利益供与事件

少し古い事件になりますが、第一勧業銀行における総会屋への利益供与事件がありました。
総会屋が第一勧銀から460億円にものぼる利益供与を受け、この資金によって四大証券会社からも利益供与を受けたとされています。

この事件では、総会屋のほか、第一勧銀11人、野村証券3人、大和証券6人、日興証券4人、山一證券8人の各幹部が起訴されています(Wikipedia)。

当時の頭取は、

「(総会屋側に)多額の融資を行った最大の要因は、(歴代最高幹部が親しかった)元出版社社長の依頼を断れなかったことで、社長の死後もその呪縛が解けず、関係を断ち切れなかった…」

と述べたとされています(Wikipedia)。
当時、「呪縛」という言葉が流行語となりました。

不正融資がはじまったのが1985年。事件が発覚したのが1997年。
不正が代々引き継がれていたようです。

関西電力の金品受領問題

関西電力の役員らが福井県高浜町の元助役から多額の金品を受領していた問題では、最終的に会長・社長らが辞任をする事態に至っています。
元副社長ら2人が1億円を超える金品を受領していたことなどが大きく報じられました。

この問題について社長は、記者会見で「原発運営に支障を及ぼすリスクがあった。呪縛から逃れられなかった」と述べています。

ここでも「呪縛」です。

社内で元助役に接する方法は口頭で後任へと引き継がれ、受け取った金品は個人で処理することが原則とされた。金品について組織としての対応は取らずじまいだった。

日本経済新聞 2019年10月5日

とのことであり、長年にわたり不透明な資金の流れが引き継がれていたことがわかります。

政治資金規正法違反事件

自民党派閥の政治資金規正法違反事件については、虚偽記入の罪に問われた被告が初公判で「発覚してこなかったことなどから、前任者から説明された通りに政治資金収支報告書の虚偽記入を継続することとした」と述べたとされています(日本経済新聞 2024年5月10日)


このように組織内では、不適切な処理、問題が前任者から後任者へ引き継がれることがあります。
明文化されることは稀で、ごく限られた人しかその扱いを知ることはできません。

発覚したときには、大きな問題となることがあります。

同僚間での不正の伝染

前任者から後任者へという縦のラインではなく、同じ組織の同僚間で不正が共有されることもあります。

使用済み印紙の使いまわし 

パチンコ店との取引で使用済みの収入印紙を使い、総額約2,500万円の印紙税を免れた事件が2008年12月に報道されています。

領収書に貼ってある使用済みの印紙を剥がし、別の領収書に貼るという手口です。
同僚5人は、会社から新しい印紙を受け取り、これを金券ショップで換金していたとのことです。

営業担当者ら5人前後が印紙を換金して着服したことを認め、すでに退職している。

 関係者によると、営業担当者らは出玉の換金に使われる景品をパチンコ店に納めて代金を受け取る際、パチンコ店が保管する伝票に使用済みの印紙を張っていた。取引額500万円超~1千万円以下(印紙代2千円)の伝票が中心で、今夏までの5年間で約1万2千枚あった。千円の印紙を2枚張るなどして計約2万5千枚の印紙が不正に再使用されていたという。

とあります。

担当職員間で手口を共有していたものと思われます。

駐車メーター不正操作

他の報道をみると、同じ会社の従業員3人が、道路のパーキングメーターを不正に操作し料金を支払わずに駐車したとして現行犯逮捕された事件が目に留まりました。

制限時間の60分が経過する前に車を感知するセンサーを誤作動させ、メーターを「0」に戻す手口で長時間駐車していたという内容です。

同じ日に会社の同僚3人が現行犯逮捕されているということなので、会社の中で不正の共有があったものと思われます。

本日のまとめ

不正は、縦のラインでも、横のラインでも伝染します。

前任者からの引き継ぎとあっては、自分で断ち切るのは難しいかもしれません。
しかし、そうであったとしても、責任を免れることはできません。

従業員間で不正を共有している話もよく聞くところです。
出張旅費や通勤費、残業代の不正請求など、少額なことが多いと感じます。

いずれにしても、不正のチェック体制は欠かせません。