現在捜査が行われている東京大学病院の医療機器選定を巡る贈収賄事件では、受け取った賄賂金を私用のパソコンや親族にプレゼントするタブレット、ワイヤレスイヤホンに使ったと報道されています。
賄賂の使途として、パソコンが登場しています。
ときには、賄賂としてパソコン自体が授受されることもあります。
賄賂と現金
賄賂とは、公務員に不正な便宜を図ってもらうことの見返りに渡されるものをいいます。
賄賂の目的となるのは、人の欲求を満たすものであればすべて対象となります。
有形・無形であるかを問いません。
ただ、一般的に使われるのは現金です。
現金は、封筒などに入る程度の小さなものですし、証拠が残りません。
飲食店の個室、応接室などで受け渡しされれば、目撃者もいません。
贈収賄事件の財務捜査では、この現金のやり取りがあったことの立証が中心となります。
過去に起こった密室での現金授受を解明するのは、難しいものがあります。
現金以外の賄賂
ただ、先に書いたとおり、賄賂の対象となるものは、現金に限りません。
他の物やサービスであっても構いません。
過去の事例で見ると、
- 中央官庁の事務次官がゴルフ接待を受けていた
- 市の職員がゴルフクラブを受け取った
- 市の課長が業者からパソコンを受け取った
という事案などがあります。
このように、接待や、物品となると、業者と公務員の癒着が相当程度進んでいたものと思われます。
特に物品となれば、公務員の方から具体的な要求をしているはずです。
本日のまとめ
賄賂の対象となるのは、現金には限りません。
パソコン、接待ということもあります。
財務捜査の観点でいえば、現金とは違い授受の事実を解明する必要はありません。
しかし、
- この便宜を受けたことによる業者側の利得の算定
- 事件当時の容疑者の経済状態
は捜査上必要とされます。
また、物品が賄賂であるとしても、これがすべかどうかは分かりません。
判明している以外に現金の授受があった可能性もあります。
贈収賄事件では、財務捜査は不可欠の要素となっています。


