会計の新分野としての財務捜査

ときどき「どうして財務捜査官になろうと思ったのですか?」と聞かれることがあります。
税理士試験に合格した直後に、たまたま募集があったというのは、一つの理由です。
財務捜査官の募集はそれほど頻繁にあるものではありません。

もう一つの理由は、会計学の新しい分野と思ったためです。

会計の目的

かつて、会計学を学んだときに、財務会計の本質は、外部利害関係者への情報提供にあると説明を受けたことを覚えています。

具体的には、受託責任の明確化、財の分配への貢献、合理的な意思決定の支援にその目的があるというものです。

おそらく現在でもこの会計の本質は変わっていないと思います。
財務会計は、企業とさまざまな外部利害関係者との調整を図るための社会的インフラという位置付けです。

財務会計は、主に決算書によって示され、その基礎となるのが日々作成する会計帳簿(簿記)ということになります。

ここには、犯罪捜査は関係してきません。

会計と財務捜査

財務捜査は、このような会計・簿記の知識を、犯罪の立証という場面に応用するものです。

これは、会計や簿記が本来想定していなかった使い方であり、会計情報のまったく新しい活用法だと考えています。

財務捜査は、監査と似てるとも言えますが、監査は主に決算書の正確性を担保するために行われると理解しています。
これに対し、財務捜査は、会計帳簿に示された情報から不正を発見したり、不正を立証することを目的としています。

この点が、会計をツールとして用いる財務捜査の特徴と思っています。

本日のまとめ

財務捜査官として25年間勤務できたのも、この財務捜査が新しい分野であり、興味が尽きなかったことにあるのかもしれません。

経済の実態は時代とともに変化し、犯罪もそれとともに変わっていきます。
財務捜査はこれからも進化し続ける新分野と感じています。