以前侮辱罪の具体例について、法制審議会の資料を紹介しました。
侮辱罪の具体例
侮辱罪と類似している犯罪が名誉棄損罪。
人の信用を低下させるところは同一ですが、事実の摘示があるかどうかが相違点です。
侮辱罪と同様、どの程度の言動が名誉棄損罪に該当するのか。
なかなか判断が難しいところです。
過去の報道から有罪判決となった事件をピックアップしてみます。
いずれも刑事事件となった事案です。
具体的事例
私のスクラップから報道年月順にピックアップしてみます。
- 自分が開設したホームページに、ラーメン店をフランチャイズ展開する都内の企業について宗教団体と関係があるとする虚偽の内容を書き込んだとして罰金30万円の判決(2009年1月)
裁判所ウェブサイト(最高裁判決)→ https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/704/038704_hanrei.pdf
- 拡声器を使いその様子の動画をインターネット上で公開し朝鮮学校の社会的な評価をおとしめる発言をした男に対し、罰金50万円の判決(2019年11月)
裁判所ウェブサイト→ https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/195/089195_hanrei.pdf
- 東名高速道路であおり運転を受けて夫婦が死亡した追突事故を巡って、無関係の会社をインターネット上で中傷したとして罰金30万円の判決(2021年5月)
裁判所ウェブサイト(一審)→ https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/964/089964_hanrei.pdf
- 山梨県のキャンプ場で行方不明になった女児の母に対し、ブログ上で「募金詐欺」と投稿した男に対し懲役1年6月、執行猶予4年の判決(2021年11月)
本日のまとめ
私が保存している報道スクラップからの抽出なので、実際にはもっと多いはずです。
また、上記内容は刑事事件であって、民事事件の裁判例は別になります。
個々の態様は異なりますが、全体をみると名誉棄損となる事例がわかるかと思います。
事実を適示し、人の信用を損なう行為は許されるものではありません。
名誉棄損罪は、親告罪として犯人を知った日から6か月以内に告訴をする必要があります。
ネット上の誹謗中傷については、プロバイダーのログ保存期間も限らています。
早めに警察等に相談することをお勧めします。