マスコミ報道によると、アメリカ大リーグの選手の預金口座から多額の不正送金をしたとされる元通訳が「銀行詐欺」の罪で起訴されたとのことです。
日本にはない「銀行詐欺」。
アメリカには「郵便詐欺」などもあります。
「銀行詐欺」とは
銀行詐欺とは、合衆国法典に規定する犯罪で、銀行などの金融機関をだまして金銭や資産を不正に取得する行為に適用されます(18 U.S. Code § 1344)。
日本では、融資金名目で銀行をだました場合「融資詐欺」ということがあります。
ただ、これは詐欺の種類であって適用される刑法の条文は、一般の詐欺と同様です。
アメリカの銀行詐欺罪は、銀行を詐欺に利用したケースに適用されます。
- 偽造された小切手や銀行口座を使用して金銭を引き出す。
- 偽装したローン申請書を銀行に提出し、融資を不正に取得する。
- 銀行の電子システムを利用した詐欺行為。
などが該当するようです。
銀行詐欺罪は、最高で懲役30年、100万ドルの罰金です。
日本の詐欺罪は懲役10年なので、かなり重い犯罪です。
「郵便詐欺」もある
銀行詐欺で思い出したのが、FBI研修で話があった「郵便詐欺」。
Mail Fraudといいます。
これも日本には規定のない犯罪です。
郵便詐欺は、合衆国法典(18 U.S. Code § 1341)で規定されています。
詐欺行為を実行するために郵便システムを利用した場合に適用される条文で、
- 嘘の広告で「商品」を郵送した。
- 郵便で詐欺の書類を送った。
- 存在しない請求書を郵送して、お金を騙し取った。
といった場合などが該当するようです。
州をまたぐ詐欺事件の多くでは、郵便が使われます。
FBI捜査官の説明では「被疑者を検挙するには、まず、郵便詐欺の適用を考えます。」という話でしたが、日本にはないことを話すと少し驚いたようでした。
本日のまとめ
「銀行詐欺」からかつてのFBI研修での話を思い出したところです。
アメリカには、銀行詐欺、郵便詐欺以外にも、
電子通信詐欺罪(Wire Fraud) 18 U.S. Code § 1343
医療詐欺(Health care fraud) 18 U.S. Code § 1347
など多くの詐欺罪があるようです。