会社の横領は、多分いつかバレます。
バレそうだとわかったとき、人は通常では考えられない事件を起こすことがあります。
過去の事例で、職場に火をつけるということが実際起きています。
私のスクラップ記事から何点かピックアップしてみます。
ケース1 特養放火事件
最初に2013年12月に愛媛県で発生した事件を紹介します。
愛媛県警松山西署は1日、松山市「○○特別養護老人ホーム」元副主任事務員、○○被告(43)(懲戒解雇)が在職中、勤務先のホームに火をつけたとして、現住建造物等放火未遂容疑で再逮捕した。
○○被告はホームの運営資金を着服したとして業務上横領罪で起訴されており、「約10年前から1億円ほど着服した。証拠隠滅のため火をつけた」と容疑を認めているという。
発表によると、〇〇被告は今年9月2日未明、ホーム1階事務室の床に油をまき、火をつけた疑い。すぐにスプリンクラーが作動し、床や事務机など約1・8平方メートルを焼いて消えた。
経理担当だった○○被告の上司の机周辺が焼けており、同署は不正経理を隠そうとした可能性があるとみて捜査していた。○○被告は着服を認め、10月に85万円分の業務上横領容疑で逮捕された。
出典 : 2013年12月 読売新聞
10年間で1億円の着服とは、かなりの被害です。
ただ、この特別養護老人ホームがどの程度の規模かはわかりませんが、1億円が横領されることは珍しくはありません。
小さな金額が積みあがった結果ということもよくあります。
業務上横領の逮捕事実が85万円なので、1件当たりの金額は少なかったのだと思います。
10年間横領していて、なぜこのタイミングで放火に至ったのか。
動機までは記事に書かれてはいません。
事務室に火を着ければスプリンクラーが作動することはわかりそうなもの。
そのような判断ができないほど感覚がマヒしていたのかもしれません。
ケース2 コンゴ大使館放火事件
2番目の事件は、国外で発生した事件です。
この事件では、警視庁の捜査員が現地に派遣されるなど異例の対応をとっています。
今年6月、アフリカ中部のコンゴ民主共和国(旧ザイール)の日本大使館が半焼した火災で、警視庁は2日、大使館に放火した疑いが強まったとして、当時3等書記官として大使館に勤務していた外務省職員の男(30)を現住建造物等放火の疑いで逮捕する方針を固めた。既に逮捕状を取っており、容疑が固まれば同日中にも逮捕する。
男が大使館の資金を着服していたとの情報があり、警視庁捜査1課は証拠隠滅のため放火した可能性があるとみて動機を詳しく調べる。
警視庁捜査1課などによると、火災は現地時間の6月20日午後7時半ごろに発生。首都キンシャサの4階建てオフィスビルに入る在コンゴ日本大使館のうち、大使の公室などがある4階部分が半焼、公文書などが燃えた。勤務時間帯ではなく、けが人はいなかった。
出典 : 2013年12月日本経済新聞
他の報道によると、このときにまかれたのはガソリン70リットル。
大量のガソリンですから、爆発状態に近かったのではないかと思います。
外務省職員ということですから、世間一般の常識はあったはず。
どうしてこのような行動に出たのか解せません。
この元職員は裁判で懲役12年の判決を受けています。
ケース3 勤務先会社を放火
ケース1とケース2は、約10年前と少し古い記事です。
しかし、最近でも横領を隠蔽するために職場を放火する事件は起きています。
勤務先の会社の口座からおよそ1393万円を着服したとして、62歳の元経理責任者の女が業務上横領の疑いで再逮捕されました。警察は女があわせておよそ1億円を着服していたとみて調べています。再逮捕されたのは、○○町の無職、○○容疑者(62)です。
○○容疑者は2017年5月から翌年の3月まで、経理責任者として勤務していた調理用器具の製造販売会社○○の預金口座から、インターネットバンキングを利用してあわせておよそ1393万円を着物などを販売する複数の企業に振り込んだ疑いが持たれています。
警察によりますと、○○容疑者は趣味の歌舞伎を鑑賞する着物を購入するために着服していたということです。
○○容疑者は去年、勤務先の会社の工場に放火した疑いで逮捕されていて、帳簿類を燃やす目的だったとみられています。
出典 : 2024年2月 Yahoo!ニュース(テレ玉)
インターネットバンキングを利用した横領であれば、会社の帳簿を燃やしたとしても証拠隠滅は限定的かと思います。
この記事にあるように実際逮捕もされています。
何のために放火をしたのか、その心理はよくわかりません。
本日のまとめ
今回は3事件をあげましたが、ほかにも横領の発覚を隠すため職場を放火した事件もありました。
横領で被害に遭い、さらに職場まで放火されてはたまったものではありません。
きわめてレアな事例ではありますが、このような事件も現実にあるということは心にとめておいた方がよいかと思います。