微罪処分とは、軽微な犯罪について警察の判断で事件を検察官に送致しない手続きをいいます。
いわば警察が行う不起訴処分です。
告訴事件について、微罪処分となることはありません。
微罪処分とは
刑事訴訟法では、警察は逮捕した被疑者については、留置の必要があると思料するときには48時間以内に身柄を検察官に送致することを原則としています。
第二百三条 司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
出典:G-gov
ただし、少額の万引き、無銭飲食まですべて送致するのは、被疑者にとって不利益が大きく、また、警察、検察庁の事務負担が生じます。
そこで、犯罪捜査規範では、微罪処分の特例を設けています。
(微罪処分ができる場合) 第198条 捜査した事件について、犯罪事実が極めて軽微であり、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されたものについては、送致しないことができる。 |
具体的な運用について、検察官からの指示により基準を設けています。
微罪処分となるのは、まさに微罪で、窃盗、詐欺、横領等については、
- 被害金額が大きくない
- 被害回復がされている
- 被害者に処罰意思がない
といった場合に適用されます。
告訴事件の場合
微罪処分とするには「被害者に処罰意思がない」ことが必要となります。
告訴は、犯人の処罰を求める被害申告なので、微罪処分となることはありません。
告訴事件は、必ず検察官に事件送付されることになりますが、起訴するかどうかは検察官の判断になります。
検察官には起訴についての裁量が与えられています。
刑事訴訟法の規定です。
第二百四十七条 公訴は、検察官がこれを行う。 第二百四十八条 犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。 |
送付された告訴事件を起訴するかどうかは、検察官が判断することになります。
本日のまとめ
告訴事件は、もともと検察官に事件送付をすることとなっています。
また、微罪処分にも該当しません。
起訴をするかの判断は、検察官が行うことになります。