民事事件と告訴状

警察は民事不介入を原則としてます。
犯罪でない個人間の紛争に行政機関である警察が介入することは、望ましくありません。

そこから、告訴状を持参しても「これは民事です」といわれ、告訴が受理されないと聞くことがあります。

しかし、民事であることと、刑事にならないことは別の話です。
民事or刑事という二者択一ではありません。

民事事件であって、刑事事件でない
こともあれば、
民事事件であって、刑事事件でもある
こともあります。

民事事件も、刑事事件に該当すれば告訴状や被害届の提出対象となります。

民事事件とは

民事事件とは、個人間の争いごとです。

貸したお金が返ってこなければ、民事事件となります。
例えば、銀行が貸した住宅ローンが返ってこない場合。
借りた人に対し、警察が「お金を返しなさい」ということはできません。
銀行と借入人の間で解決してもらうしかありません。

ここの部分に警察は介入することはできません。

しかし、民事事件であっても、刑事事件に該当する場合には捜査対象となります。

民事であり、刑事でもある場合

例えば、会社の決算書を粉飾して銀行からお金を騙し取った場合。
これは、詐欺として刑事事件になります。

この場合でも警察は詐欺師に対して「お金を返しなさい」ということはできません。
ここの部分は民事事件だからです。

一方警察は、この事件を詐欺事件として捜査することは可能です。
民事事件かどうかは別にして、刑事事件だからです。

つまり、警察が捜査をするのは、民事か刑事かでなくて、刑事事件かどうかで判断することになります。

刑事事件とは、刑法をはじめとする刑罰法令に抵触する事件をいいます。
法律に「死刑、懲役、禁錮」などの規定があれば刑事事件になります。

そして、刑事事件については、告訴を行うことができます。

イメージはこのような感じ

イメージとして描くとこのような感じです。
この図の赤い○が刑事事件になります。

事件によっては刑事事件と民事事件が重なっています。
その重なっている部分の民事の部分だけを見て、「民事だから告訴はできない」と判断するものではありません。

本日のまとめ

民事事件でも、刑事事件が重なっていれば、告訴状、被害届の対象となります。
事件全体から刑事部分を発見することで告訴が可能になることもあります。