三菱UFJ銀行の貸金庫事件では容疑者が逮捕され、報道が一気に過熱しました。
一般職から総合職に昇任し、営業課長でもあったとのこと。
勤務態度に問題がなかったと言われています。
実際のところ、不自然な行動はまったくなかったのでしょうか。
勤務態度と不正の関係
社内不正発覚の兆候として、勤務態度がいわれることがあります。
確かに、不正を働いているわけですから、
- 分不相応な服装、装飾品
- 勤務時間中の無断外出
- 私用電話
- ギャンブル等の話題
- 勤務態度の変化
といったことで不正を疑うことはできるように思います。
ただ、今回の容疑者の場合、そのような話は出てきていません。
周囲の人の話でも、飲み代は割り勘だったようですし、派手な生活態度というわけでもなかったようです。
一部に、
- 毎朝タクシー呼んでいた
- 昔からちょっとキリキリした態度で、話しかけるのが怖いような雰囲気があった
という話がありますが、これは銀行側で把握できることではありません。
勤務態度に問題はなかったと報じられています。
不自然な行動も
では、勤務態度にまったく問題がなかったのか。
そうでもないようです。
今回の報道の中で、常に閉店後3時以降に昼休憩をとっていたという話が出ています。

記事には、「基本的に勤務態度に問題はなかったようですが、同僚の間では『そういえば…』ということがあった。当該支店の貸金庫は一般客の利用時間が15時までなのですが、今村容疑者はいつも夕方16時ごろに昼休憩をとっていたそうです。今考えると、利用客がいない夕方に貸金庫で悪事を働いていたのかもしれない」とあります。
銀行の昼休みは、基本的に午前11時から午後1時ころにかけて交替でとります。
昼休み中に来客があった場合、当然、他の行員が対応することになります。
不正が発覚することをおそれ、離席することができず昼休みが夕方になってしまったのだと思います。
午後3時までが支店の窓口営業時間。
この後であれば、貸金庫の利用者はいなくなります。
不正防止の基本は、一人に権限を集中しないことにあります。
昼休みを昼休み中にとらないことで、他人のチェックを免れていたことになります。
大和銀行ニューヨーク支店でも
昼休みもとらずに仕事をする姿をみて、「真面目な勤務態度」とみる向きもあるかもしれません。
しかし、ルールを逸脱した「真面目な勤務態度」の陰に不正があることは、大和銀行ニューヨーク支店の不正事件でも見られたことです。
突然の大洪水で家から出られない状況なのに、無断取引の発覚を防ぐため、子どものゴムボートをこいで街はずれの公衆電話で業者に電話をするエピソードが印象的です。
井口 俊英「告白」
Amazon→ https://amzn.to/4hnCZSD
帰宅は連日午後11時近くだったとありますから、おそらく、休みもとっていなかったのだと思います。
このように、
- 休みをとらない
- 何が何でも出勤してくる
といった勤勉過ぎる勤務態度にも不正が隠れている可能性があります。
本日のまとめ
真面目な勤務態度が悪いことではありません。
程度とルールに逸脱しているかが問題です。
今回の事件についていえば、変則的な昼休みの取得について、上司が、
- 昼休み時間中にとるというルールを守らせる
- 昼休みを夕方にとる理由を確認する
ということをしただけでも不正は防げたかもしれません。
仮にできなかったとしても、抑止効果にはなったはずです。
現在では、銀行に限らずどの職場でも職員のプライベートに関する不自然な行動を把握することはできません。
ただ、勤務中の基本を逸脱している行動については、十分注意を払う必要があります。