経理1人体制が不正の原因か

先日の報道によると、九州に所在する学校法人に勤務していた事務職員が不正な引き出しを繰り返し、約2億3,900万円が不明となっているとのことです。

この元職員は、20年にわたり1人で経理を担当していたともあります。

経理担当者が長年にわたり1人で口座管理をしていたことが、問題点として指摘されています。

1人経理の問題点

経理担当者が1人であると、不正が行われやすいということはよく耳にします。
確かに経理担当者が1人であれば、お金を自由に動かすことができ、また、帳簿を改ざんすることも思いのままかもしれません。

ここに経理職員を複数置けば、不正の防止に役立つというのはある意味納得がいくところです。

2人なら防げるのか

しかし、私の捜査経験上、経理を2人置いていても不正が発生したこともあります。
また、大規模会社でも横領は発生していますが、通常経理職員は何人もいます。

ある小規模会社では、不正防止の観点から経理に2人を配属していましたが、それぞれ異なる業務を割り当てており、そこにチェック機能が構築されていませんでした。
これでは、形式上は経理担当者が2人であっても、実質は1人と同じです。

経理を複数配置し、かつ、相互に牽制する体制が必要です。

相互にチェック機能がなければ、経理が2人いても不正防止には役立ちません。
また経理を2名おいても、この2人が示し合わせて不正を行えば、何の意味もありません。

1人経理でも上司はいるはず

つまり、経理が何人という問題ではなく、チェックの問題です。
経理担当者は従業員であり、その上には管理監督を行う上司の存在があります。
この上司が経理をチェックすれば、担当者で1人であっても不正の防止にはなります。

多くの場合、監督すべき上司が担当者任せにしていたり、内容を確認せずに承認をしているのが問題の根本です。

経理に精通していなくても、現金残高の確認、通帳と帳簿の照合、振込内容の確認などはできるはずです。
また、上司を定期的に変更すれば、馴れ合いを防ぐことも可能です。

本日のまとめ

長年経理を任されていた職員が金銭を着服する事例は多くあります。
しばしば、「長年経理を1人に担当させていたのが問題」「経理を2人置くべき」との指摘がされます。

確かに、経理担当者を複数配置すれば不正防止には役立つかもしれません。
しかし、その前提は、チェック体制があることです。

また実際のところ、多くの中小企業では、経理を複数配置するだけの余裕はなかったり、そもそも2人分の事務量がないこともあります。

上司が経理業務に関心を持ち、適切なチェックをすることが不正防止に役立つと思っています。