投資詐欺はなぜ広まってしまうのか

先日の報道によると、投資詐欺が横行しているとのこと。
「やまぬ無登録業者による投資被害 監視委も告発できず…規制強化検討」(毎日新聞)
投資詐欺事件は、本当に件数が多いと感じています。

投資詐欺は、集めた資金を最初「配当」に回すため、「儲かった」という錯覚が生じます。
これも詐欺被害拡大の一因となっています。

投資詐欺

投資詐欺は件数的にも多いと感じています。
被害者、被害金額も同様です。

少し思い出せるところでも、「ジャパンライフ」「ケフィア」「円天」など思い浮かびますし、最近ではSNS型の投資詐欺も目につきます。

先ほどの毎日新聞の記事によると、金融庁に寄せられた投資詐欺に関する相談は2年間で1万5,000件余り。
その8割超が実際の被害にあっているということです。

見分け方

投資詐欺の見分け方に、金融商品取引業者の登録有無があります。
新聞記事の中でも触れられています。
確かにそのようなチェックも有効です。

無登録業者は論外ですが、登録業者が詐欺をしないわけではありません。

「絶対もうかる」「元本確実」「高配当」などが詐欺フレーズです。
このような言葉で見分けることもできます。

元本確実は、ローリスク。
絶対もうかるということは、ハイリターン。

ローリスクでハイリターンということは、ありえない話です。

ハイリターンの錯覚

投資詐欺といっても、いきなりお金を騙し取るわけではありません。
それではすぐにつかまってしまいますし、大きな金額を騙し取ることはできません。

そこで、詐欺の初期段階では、集金したお金を「配当」に回し、「儲かっている」を演出します。

例えば、100万円の出資が集まれば、そこから20万円を支払い、年20%の配当を実現します。
出資した人は、実際に約束した「配当」が入金されているので、儲かったと思います。
自分でも追加出資します。
また、高額な紹介手数料を受け取ることができるので、知り合いにも勧めることになります。
実際、約束した配当が入金されているので、自信をもって勧誘ができます。

これがSNS、LINE、口コミなどで広がり、次々に投資を呼ぶことになります。

連鎖の破綻

このように初期段階ではどんどんお金が集まり、一部を配当に回しながら資金を騙し取っていきます。
出資者が増加し続ければ、一定時点までは資金は回りますが、次第に「配当」が困難になります。
また、途中解約を申し出る人も増えてきます。

実際には運用などしていないため、資金が不足するのは時間の問題です。

十分に資金集めが終わった段階で、配当を遅らせ、やがて破綻へと進みます。

これが投資詐欺の典型的なパターンです。

本日のまとめ

私も投資詐欺事件捜査には何件か従事しましたが、立件するまでは相当な期間がかかります。
捜査の一般的な流れについては、著書「不正の端緒を見抜く ~ 財務捜査の進め方」でも紹介しました。

検挙は不正行為者を罰し、また、事件の抑止につながる点で有効ですが、これでお金が返ってくるわけではありません。
うまく出来過ぎた投資話には乗らないのが一番です。