「財務捜査」はなぜマイナーなのか

自己紹介で過去の職歴を話す機会があります。

勤務内容を「財務捜査」と話しても、「財務調査ですか?」と言われることがしばしばあります。
おそらく「税務調査」からの連想だと思います。

税務署が行う「税務調査」については広く知られていますが、警察が行う「財務捜査」については、認知度が今一つ及ばないようです。

理由はいくつかあると思います。

歴史が浅い

財務捜査という用語自体、それほど古いものではありません。

財務捜査官が初めて採用されたのが平成6年。
警察白書に「財務捜査」という用語が登場したのが平成10年。

すでに30年近くが経ったとはいえ、尾行、聞き込み、張り込みなど昔からある捜査手法と比べればまだまだ新しい分野といえそうです。

その意味で聞き馴染みがないのかもしれません。

人数が少ない

財務捜査を専門としている財務捜査官の人数は、全国で約50名程度と思われます。
全国の警察官人数26万人に占める割合はごく僅かです。

財務捜査官は全国の都道府県警察に漏れなく配置されているわけではありません。
おそらく、警察官の中にも「財務捜査」という捜査分野を知らない方もいるはずです。

一方、税務署の職員数は約5万6千人。
警察官の人数よりはずっと少ないですが、税務調査は税務署の主要な業務。
担当している人数がまったく違います。

接点が少ない

財務捜査は、主に警察の事務室内で業務を行っています。
外に出て一般の方から話を聞く機会は限られています。
財務捜査は警察内部で完結することが多く、外部との接点がほとんどありません。

また、財務捜査によって事件検挙ができた場合でも、そのことが大きく報道されることはほとんどありません。
財務捜査が使われる分野は主に知能犯事件。
公表できる部分は限られることもあります。

殺人事件などの解決で防犯カメラ、デジタル解析、警察犬などが取り上げられるのと大きく違っています。

本日のまとめ

財務捜査は今一つ知名度が低いというのが実態です。
しかし、それはそれで良いように思います。

警察という組織の中だけで行われ、従事している人数も多くはありません。
ほとんど知られていないのは、むしろ当然ともいえます。

目立たぬ存在であることこそが、財務捜査の本来なのかもしれません。