先日、日本経済新聞に「会計不正 過去10年で最多 昨年度56社 統治改革であぶり出し」との記事が掲載されていました。

上場企業においても会計不正が増加しているようです。
調査内容
日本経済新聞の記事は、日本公認会計士協会が公表した「上場会社等における会計不正の動向(2025年版)」をベースにしています。
会計不正の公表会社数、不正の類型と手口、発覚経路に関与者など詳細な分析が行われています。
別会社を絡めた資産流用
調査内容を読んで気になったことの一つとして、資産の流用の手口があります。
調査資料によると、不正の類型として約8割を占めるのが「粉飾決算」。
同時に、会社資産を横領、窃盗、詐欺などの方法で流用する「資産の流用」が約2割となっています。
資産の流用手口として最も多いのが、「現金の横領」と「第三者の会社を介在した資金流出」。
次いで「自己(不正行為者)が関係する会社等を利用した資金流出」となっています。
「現金の横領」が多いのはわかります。
それ以上に多いのが、第三者の会社、自己が関係する会社など別会社を絡めた不正です。
その場合、不正の発見は格段に難しくなります。
別会社を利用した不正としては、横領、背任(キックバック)が典型例です。
自社と別会社との取引に不審点があるとは限りません。
不正があるのは、別会社から先の資金です。
社内だけの調査では不正を見抜くの困難と思います。
不正発覚の経路として「当局の調査等」とあるので、別会社を絡めた不正の一部は税務当局などの調査が発覚の端緒になったのかもしれません。
本日のまとめ
日本公認会計士協会の調査資料を読んで、いくつかの気づきがありました。
別会社を絡めた不正の手口の多さは、その一つです。
取引先を利用したキックバックや、自分が作ったペーパーカンパニーを利用した不正送金などの手口は確かに多いと感じていました。
その感覚を裏付ける調査結果でした。
別会社を絡めた不正については、発見よりも防止が重要と思います。