先日の報道によると、日本相撲協会は所属行司を、金銭に関する不正行為により懲戒処分を行ったとのことです。
他の会計担当者が管理していた通帳から332万円を騙し取ったほか、現金2,000万円近くを横領していたとあります。
現金を管理するのであれば厳格なルール作りと、ルールに従った運用のチェックが不可欠です。
不正の内容
日本相撲協会による懲戒処分は2025年6月9日に実施された模様です。
ただ、私が、日本相撲協会のHPを確認した限りでは、懲戒処分に関するリリースを見つけることができませんでした。
そのため、不正の内容については、報道されている内容から推察するしかありません。
報道をまとめると、次のようになります。
- 懲戒処分となったのは、50歳の行事
- 処分は、日本相撲協会の理事会決議によるもので、退職金は全額不支給
- 着服対象は、被災地支援等に充てる目的で集められた力士会の積立金
- 着服期間は、少なくとも2019年1月から2025年5月までの約6年間
- 不正に取得した資金は、預金口座から332万円、現金2,000万円以上
- 使途は公営ギャンブル
というものです。
通帳から払い戻された資金は、他の会計担当行司らに「横綱からの指示」など虚偽の理由を告げて引き出させたとのことです。
通帳から引き出させた332万円は返済されてはいますが、他の資金は現時点未返済のようです。
感じる疑問点
この一連の報道を見て感じるのは、現金管理に対する疑問点です。
- 現金管理者のルールはなかったのか
- 不正行為がはじまった2019年1月以降、6年近くチェックはなかったのか
- 現金管理を1人に任せていたのか
- 現金の授受に書類を残さなかったのか
- 積立金がある程度貯まったら、預金口座に入金する制度はなかったのか
など、疑問点は数々出ます。
要は、ルールやチェック体制がなかったのか、あるいは、あっても機能していなかったのかという話になります。
現金管理の基本
まず、現金については、現金を扱わないのが基本です。
現金をそのまま手元に保管しておくことは、仮に複数で管理する体制であったとしても避けるべきです。
盗難、紛失のリスクはついてまわります。
どうしても預金口座を通すのが難しい事情があるのなら、なおさら管理とチェック体制は欠かせません。
少なくとも
- 複数の担当者を置き、出納と記帳を分ける
- 現金の受け払いには書類を残す(入口・出口)
- 現金残高は定期的に確認(毎日数えて記録に残す)
- 集金後すぐに預金口座へ入金
- 手元現金は必要最小限
- 預金口座は別の人が担当
- 定期的に第三者がチェックをする
というのは、最低限の基本ルールです。
現金残高は、毎日確認するのが基本です。
年に1度の定期監査でというのでは、一時的に資金を他から調達し、当日のチェックをパスすることもできてしまいます。
本日のまとめ
現金の管理は、難しい問題だと思います。
管理を任せる方も不安ですし、任される側の管理負担も大きなものがあります。
どうしても現金管理がなくせないのであれば、運用ルールと、チェック体制の確立が必須ということになります。