昨日のブログでは、学校積立金の横領について書いたところです。
不正防止策については、さまざまな方法が提案されていますが、私は「サンドイッチ」対応が一つの方法と思っています。
基本は不正のトライアングル
不正のトライアングルについては、これまでもこのブログで何度か取り上げたことがあります。
アメリカの犯罪学者ドナルド・クレッシーが提唱したとされる理論です。

不正が発生するメカニズムとしては、
- 不正を行う動機
- 不正の正当化
- 不正を行う機会
があるというものです。
そこから、これらの要素をなくせば、不正は防止できるというものです。
この3要素は、不正が発生後の原因分析には有効でも、不正を防止する効果は限定的と感じています。
過去にも書いたように、
- 不正を行う動機
→ 不正を行う動機は「お金が欲しい」に集約される。誰にでも動機は存在するため、動機をなくすことは難しい。 - 不正の正当化
→ 不正を行った後の言い訳であることが多く、不正防止の効果は限られる。
と感じています。
それに「動機」も「正当化」も内心の問題であり、外部から働きかけるには限度があります。
もちろん、動機や正当化を減らすよう努めることは大切ですが、そこからのアプローチ効果は大きくありません。
不正を防止するには、トライアングルの1つである「機会」をなくすことだと感じています。
機会をなくす
いくら、動機や正当化をもっていたとしても、不正をする機会がなければ何もできません。
不正を防止するには、機会をなくすことが大切です。
会社の経理で、
- 通帳と印鑑をわける
- キャッシュカードと暗証番号をわける
- 金庫にアクセスできる人を制限する
- 暗証番号を定期的に変更する
ということは機会をなくすことであり、不正防止につながります。
挟むことも大切
しかし、機会だけで不正を防止するのも難しいところがあります。
先にルールをつくり「正しい手続き」を決めておく必要があります。
規則がないと、各自それぞれの立場で手続きを考え、不正の機会が生じてしまいます。
「通帳と印鑑をわける」というのは不正防止の常識といえるかもしれませんが、すべての人が共有して認識しているとは限りません。
ルールをつくることが不正防止の前提となります。
また、チェック体制も必要です。
「機会をなくす」「ルールをつくる」といっても、あらかじめすべての事象を漏れなく対応しておくことは困難です。
ルールの数も膨大となり、逆に守られないことにもつながりかねません。
また、テクノロジーや時代の変化によって、新たな不正の手口が出てくることもあります。
チェックは、不正行為をけん制する役割もあります。
チェック体制が確立され、不正が発覚するのであれば、不正を思いとどまるのが普通です。
そこで、「機会をなくす」を「ルールをつくる」「チェックをする」で挟むのが効果的かと感じています。

これが「不正防止のサンドイッチ」です。
本日のまとめ
「不正防止のサンドイッチ」は私の思いつきに近く、理論というほどのものではありません。
学者でもありませんし。
ただ、3つのことで何かを表す試みは、悪くないと思っています。
本文で紹介した「不正のトライアングル」がそうです。
また、私の恩師である新井清光先生は会計分野で「トライアングル体制」を提唱されました。
「トライアングル体制」は、当初「叉銃体制」と言われていましたが、言葉が古すぎるのでこれを「トライアングル」に変えたようです。
3を示すのであれば、「サンドイッチ」以外の言葉でもいいのかもしれません。