公正証書遺言を作成するにあたっては、証人2人が必要となります。
「公正証書遺言を作るので、証人になって」と頼まれることもあるかもしれません。
当日の流れはどのような感じか。
これまでの私の体験です。
公正証書遺言の証人とは
公正証書遺言を作成する際には、証人2人が必要とされています。
証人の欠格事由に該当しない限り、誰でも証人になることができます。
民法の条文です。
(証人及び立会人の欠格事由)
引用:e-GOV
第九百七十四条 次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
一 未成年者
二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
三 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
遺言は、主に財産、身分に関する重要な事項を含み、内容を秘密にしておきたい方も多いはずです。
証人の適任者を探すのは、簡単ではありません。
公正証書遺言の作成をサポートした行政書士などは、お願いされやすい立場だと思います。守秘義務も負っています。
あるいは、公証役場に証人の手配をお願いすることもできます。
もちろん信頼できる知人に頼むことも可能です。
証人の役割
遺言書作成の証人の役割は、遺言書が適法、適正に作成されたことを担保することにあるとされています。
具体的には、遺言者が
- 公証人が読み上げる遺言書の内容を理解しているか
- 自分の意思に基づいて遺言しているか
- 強制や錯誤がないか
- 意思能力に問題がないか
などを確認することになります。
当日の流れ
公正証書遺言の証人を頼まれる場面は、そうそうあるものではありません。
役割はわかっても、具体的にどのようなことをすればよいか、戸惑うかもしれません。
私の体験から、おおよそ次のような流れで進んでいくように思います。
持ち物
持ち物は、公証役場から指示があるので、それに従います。
一般的には、
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 認印(朱肉をつけて押印するもの)
となっているはずです。
朱肉や筆記具は、通常、公証役場に準備されています。
服装
服装に決まりはありません。
遺言者との関係にもよりますが、遺言書作成の場に臨むので、スーツの方が多いかと思います。
到着時間
交通機関の遅れなども考慮し、10分前には公証役場に到着するようにしています。
入室後
公証役場へ到着すると、公証人が待機する部屋に通されます。
公証人、遺言者、証人2人の4人だけが入室します。
テーブルには、遺言者と証人用に、これから作成する遺言書が置かれています。
最初に公証人が遺言者の本人確認を行います。
続いて、公証人が遺言書の文をゆっくりと読み上げます。
遺言者と証人は、その内容を聞きながら手元の書類で確認をしていきます。
確認が終わると、遺言者と証人が記名、押印を行います。
押印は、記名の文字にかからないように注意があるはずです。
また、上に押された印と被らないようにもします。
途中で、証人の本人確認も行われます。
記名、押印した遺言書の原本は公証役場に保管されることになります。
終了
ここまで滞りなく進めば、入室から記名、押印まで15分ほどで終わることが一般的です。
作成が終わると、遺言書の正本、謄本が交付されます。
遺言執行は、この正本、謄本に基づいて行われることになります。
なお、渡される書類には、遺言者、証人とも氏名がワープロ打ちされ、押印部分には「印」とだけ書かれています。
最後に、公証人から説明などがあり、終了です。
本日のまとめ
本日の記事は私の経験にもとづいたもので、公証役場によっては手順が違うかもしれません。
ただ、おおよその流れはこのような感じかと思います。
遺言書作成の証人になる機会は、そうそうあるものではありません。
ご参考までに紹介しました。