会社資金を横領する手口の一つに、会社をつくって資金を振り込ませるというものがあります。
口座取引と領収書をチェックするだけでは不正を見抜くことはできません。
形式でチェックせず、違和感を大切にする必要があります。
架空会社をつくる手口とは
会社資金を横領する手口の一つに、「架空会社をつくる」というものがあります。
架空経費をつくり、架空会社に送金するという手法です。
例えば、架空経費の名目が
- 工事費であれば「株式会社〇〇工事」
- 手数料であれば「株式会社〇〇サービス」
などという会社をつくり、ここに経費を振り込ませるというものです。
分かりやすいのは、自分が代表者となり架空会社を設立するというものです。
ただ、これだと目立ってしまいます。
そこで、
- 休眠となっている会社の口座を使う
- 家族や知人を社長にする
ということもあります。
形式チェックでは見破れない
自分がつくった架空会社に経費を振り込ませる不正の手口。
会社に対して虚偽の書類を提出して騙しているので、横領というよりも詐欺に問われることになりそうです。
経理担当者が実行した場合、第三者が不正を見破るのは難しいものがあります。
- 「請求書」のとおりに支払いがされている
- 架空会社は登記もされている
- インボイス番号もあることが多い
と形式的に不審点はありません。
請求書、振込結果、預金取引すべてに食い違いが生じないためです。
架空であることを見抜くことは難しいというよりも、無理なことです。
もちろん一般的な会社であれば、請求書を受領した部署の上職がチェックをするので、不正は防止できるはずです。
しかし、
- 上司のチェックがずさん
- 経理担当者が単独で不正をしている
といった場合、支払を未然に防ぐことは困難です。
「違和感」から気付くことも
このような架空会社をつくって経費を振り込ませる不正に気付くのは、なかなか難しいものがあります。
ただ、取引先として不自然さを感じることもあるかもしれません。
「違和感」というものです。
- 最近取引が開始された
- 請求書に書かれている商品、サービスが具体的でない
- 取引額、数量が他社の水準と異なっている
- 所在地が遠隔地
- 電話番号などの記載がない
といったことで、不自然さを感じることもあります。
もちろん、これらにあてはまっても、不正であるとは限りません。
ただ、違和感というのは、意外と当たっているというのが実感です。
おかしいと感じたら、さらに、
- 登記簿で設立年月日、代表者、所在地、資本金、目的等を確認
- ストリートビューなどで会社の場所をチェック
- 請求書に書かれた商品、サービスの実態を確認
- 請求書を提出してきた担当者から取引内容を聴取
などを行い、取引の真偽を調査する必要があります。
本日のまとめ
架空会社をつくって資金を不正取得する事例は、実態としてかなり多いように感じます。
自分で架空会社をつくるのが難しければ、取引先と共謀しキックバックを受けることもあります。
この手の不正は書類が整っているだけに、見抜くのが難しいといえます。
少しでも不審を感じたら、早い時期に調査をすることをお勧めします。