経営者の公私混同が従業員の不正につながる理由

財務捜査では、会社の帳簿や領収書をチェックする機会が多くありました。
少なからずの会社で、経営者の公私混同が行われています。

私的支出を会社の経費にできるうえ、税金も安くなるかもしれません。
しかし、従業員が横領する動機にもつながります。

経営者による公私混同

会社が横領被害にあったとして申告があった場合、帳簿の捜査を行います。
横領の手口、金額を探る上でも綿密なチェックは欠かせません。

帳簿や領収書を調べる中で多いと感じるのは、経営者の公私混同。

  • 家族との飲食費
  • 私物購入の付け回し
  • 私的旅行と思われる旅費
  • 家族を名ばかりの役員にして報酬を支払う
  • 得意先を接待したことになっているキャバクラ代

などがあります。

税務調査で指摘されそうですが、すべての会社に調査があるわけではありません。
また、書類を整えたり、税務職員に説明して経費で認められたのかもしれません。

税務調査でのチェックは別にしても、かなり公私混同がみられます。

公私混同で抱く不満

経営者のお金の出入りについては、経理担当者は実際よく見ています。
外部から来てチェックをする税務署よりも、調査能力が高いのは当然です。

経理担当者が感じることは、

  • 経営者が個人的な支出を会社の経費にしている
  • 社長は遊んでばかりで、仕事をしているのは従業員

という不満です。

また、このような経理処理をしているということは、

  • 会社資金の管理がずさん
  • 担当者任せ

ということにほかなりません。

従業員の横領を誘発しているともいえます。

実際の話

実際、横領した経理職員の供述でも

  • 社長だって会社のお金を好きに使っているじゃないですか
  • 役員報酬を払っている奥さんだって、会社で見たことありませんよ

と言われることがあります。

だからといって、横領が許されるわけではありません。
ただ、そのような不満を抱きやすいということは理解できます。

もちろん社長にも言い分はあるかもしれません。
遊んでいるように見えて社用であるかもしれません。
営業活動に接待は必要です。
それならば、必要な範囲で従業員に理解してもらわないと、あらぬ誤解を生じることになります。

本日のまとめ

経営者が公私混同をしていると、従業員の不正が起こりやすいと感じます。
もちろん、数値化されたものではなく、私の感覚です。

経理担当者は、お金の出入りをすべて知っています。
公私混同をしないことが不正防止の基本となるのではと感じます。
また、公私混同と見られかねない支出については可能な範囲で説明をしておかないと、経理担当者の誤解を招くことになってしまいます。

この点、ご注意いただければと思います。