先祖から伝わる家訓。
目には見えませんが、家の教えとして次の世代に継いでもらいたいと思うことは自然なことです。
家訓を相続させるには、遺言書にどのように書けばよいのか。
附言事項の大切さの話です。
米屋の家訓
先日、成田山へお参りに出かけてきました。
長い参道には、両側に飲食店、お土産屋さんが賑やかに軒を連ねています。
その一軒に羊羹で有名な米屋があります。
表参道に「なごみの米屋 總本店」。
裏手に、「成田羊羹資料館」があります。
こちらに入り最初に目についたのが、「米屋羊羹店の信條」。
「己に薄く他に厚く」といった信条が、現在でも盛況をほこる会社の基礎となっていることを感じます。
家訓の相続
このような信条、家訓を次の世代に遺したいと考えるのは、自然な思いです。
遺言書は、法的拘束力を有する遺言事項といわれる本文の部分と、法的拘束力のない付言事項に分かれます。
遺言事項には、遺産分割方法の指定、遺贈、遺言執行者など相続財産に関する事項が書かれます。
また、認知、廃除など重要な身分関係についても、こちらに記載されます。
これが遺言書の基本部分であり、法的拘束力を有することになります。
これに対し付言事項には、法的拘束力がない事項が記されます。
ここに、信条や家訓を継ぎこれを守るよう希望する旨を書くことになります。
付言事項は確かに法的効果はありません。
しかし、無意味なものではありません。
これまでの感謝や、遺言の真意の説明、また今回のように家訓を伝えることは、相続トラブルを防ぐとともに、後の世代のためにも大切なことです。
本日のまとめ
遺言というと、本文に書かれる相続内容を中心に考えてしまいます。
もちろん、それが遺言を作成する本来の目的です。
しかし、それと同じ、あるいはそれ以上に大切なことは、付言事項かもしれません。
遺言書作成の際には、付言事項の内容も本文と同じくらい目配りをしていただければと思います。