法人登記も終わり、これから事業をスタートしようとした矢先、「法人の銀行口座が開設できない」という問題に直面することがあります。
法人口座はマネーロンダリングに悪用されることもあり、金融機関は開設に慎重です。
法人口座とマネーロンダリング
事業を行うにあたり、法人口座の開設は欠かせません。
売上を立てても、これを入金する預金口座がないと仕事になりません。
仕入代金を支払うにも、ATMで現金振込ができる金額は上限が10万円。
これを超える支払は、個人口座から振り込むか現金を持参するなど考えなくてはなりません。
このように事業に欠かせない預金口座開設ですが、最近では審査基準が厳しくなっています。
今年6月に大阪府警が、違法なオンラインカジノの掛け金をマネーロンダリングしたとして検挙した事件では、犯罪グループは約4,000の法人口座を管理していたとされています。
法人口座であれば、多額送金でも企業間取引に偽装することが可能であり、犯罪ツールとして使われることがあります。
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このように法人口座を悪用する一部の人のために、口座開設のハードルが高くなってしまっています。
ネット銀行での開設
ネット銀行の広告を見ると、簡単に口座開設ができるとされています。
銀行によって必要書類は異なりますが、一般的には、次の資料が要求されます。
多くの銀行で必要とされるのは、
- 印鑑証明書
- 登記簿(履歴事項全部証明書)
- 本人確認書類
ここまでは、問題ありません。
さらに、事業実態の確認できる資料の提供も求められます。
あるネット銀行では、その資料として
- ホームページアドレス(ただし設立6か月以内の場合は、資料提出が必要)
- 許認可・登録・届出(申請中は不可)
- 他社発行の発注書、納品書、請求書
- 各種契約書
などをあげています。
いずれも設立時には、提出が困難な書類ばかりです。
各ネット銀行の審査によりますが、これらの規定をみると口座開設は簡単ではなさそうです。
地元の金融機関
ところで、法人口座の開設は、ネット銀行に限ったことではありません。
一番身近なのは、地元の金融機関。
もともと法人口座開設審査が厳しいのは、マネーロンダリングなどの不正に法人口座が悪用されることを防止するためです。
地元の金融機関に口座の開設があり、
- 公共料金の引落などがされている
- 給料・年金の振込がある
- 定期預金などの取引がある
- 住宅ローンの引落がある
といった場合、長年の取引が信用になる可能性はあります。
私の経験
各銀行の法人口座開設の審査基準はそれぞれの判断です。
私が会社設立直後に問い合わせたところ、ネット銀行2行からは、「口座開設できません」との回答でした。
一方、地元の金融機関で相談したところ、事業内容や取引履歴から口座開設をすることができました。
各銀行の判断にはなりますが、ネット銀行で法人口座開設ができない場合、地元の金融機関に相談するのも一つの方法です。
本日のまとめ
法人口座開設というと、ネット銀行が簡単なように思えますが、意外と地元の金融機関の方が対応可能なこともあります。
なお、金融機関との取引は、口座開設だけが目的ではありません。
借入の可能性、利便性なども含め、慎重に判断することが必要です。