企業不正が再び増加 ~ 2つの調査結果による新聞報道から

2024年10月18日付け日本経済新聞の報道によると、企業不正が再び増加しているとのことです。
どの企業でもコンプライアンスの向上が言われる中、不正が再び増加しているというのは一見矛盾しているようにも感じます。

報道内容

2024年10月18日付け日本経済新聞の記事は、こちら。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG047NT0U4A001C2000000

「企業不正、再び増加 内部通報の機能不全が明らかに」というタイトルです。

記事では、2つの調査結果が紹介されています。

1つは、KPMG FASによる「日本企業の不正に関する実態調査」
もう1つは、デロイトトーマツグループによる「企業の不正リスク調査白書」

となります。

調査概要

KPMG FAS

KPMG FASの調査内容についての詳細は会員制となっているため引用は控えますが、公開されているページには、調査8回目となる今回は、

  • サードパーティとして、第三者に起因する不正
  • サイバー攻撃
  • 非財務情報の虚偽表示

という、3つの視点を追加したとのこと。
近年の問題を取り込んだ内容となっています。

なお、日本経済新聞の見出しの「再び増加」とは、KPMG FASの調査で「過去3年間に不正が発生したと答えた企業の割合」がコロナ期にはいったん低下したものの、今回調査でコロナ前の水準に戻ったことを指しているものと思われます。

参考blog記事

デロイトトーマツグループ

デロイトトーマツグループの「企業の不正リスク調査白書」については、詳細は別途ダウンロードとなっていますが、概要はHPに公表されています。

調査結果によると、

  • 過去3年間で不正が発生した上場企業の割合 50%(※前回 50%)
  • 過去3年間で6件以上不正が発生した上場企業 14%(前回 9%)
  • 「今後は不正リスクが高まる」と感じる企業 66%(前回 64%)
    (※ 前回とは2022年調査)

と、不正が発生した上場企業の割合は変わらなかったものの、過去3年間で6件以上の不正が発生した上場企業の割合が増加しており、一部の企業で不正が高くなっている様子がうかがえます。
また、微増ではありますが、不正リスクが高まるのではという意識が強くなっていることもわかります。

この背景として調査レポートでは、コロナ禍によるリモートワークが解かれ、不祥事が発覚しやすい状況へと変化したためと考えられると分析しています。

確かに、リモートワークの下では、実地確認をすることが難しく不正が顕在化されにくい状況にありました。
オフィス回帰とともに、今後不正の発覚が増加することが予想されそうです。
それが不正リスクが高まるという微増結果に反映されているように感じます。

本日のまとめ

両調査とも、不正の動向を示す内容となっています。
また、新聞記事のタイトルにもなっている、内部通報制度の問題点についても触れています。

サードパーティを含むリスクとともに、興味深く読みました。