直接お金を扱う経理職員による不正は、必然的に発生しやすいといえます。
不正防止策としては、経理職員を複数配置することが効果的といわれます。
実際、2人配置すると不正は防止できるのでしょうか。
チェック体制の構築は必要
経理担当者は、会社のお金を動かす業務を行っています。
- 仕入代金の支払い
- 現金の引出し
- 預金の管理
といった仕事を一手に引き受けています。
一方で、その業務内容ゆえ不正が多いというのも事実です。
- 仕入代金とみせかけて自分の口座に送金する
- 引き出した現金の着服
- 不正が露見しないための預金口座操作
なども行えてしまいます。
中小・中堅企業で不正が多いのは経理担当者が1名であることが原因ともいわれます。
2人であることのメリット
中小・中堅企業が経理職員を2人置くことは大変なことです。
- そもそも人手不足で募集が困難
- 人件費がかかる
- 会社規模が小さいので2人分の仕事がない
といった現実があります。
一方、不正防止の観点から経理職員を2人配置している会社もあります。
経理職員を2人にすれば、
- 送金時におけるチェックが働く
- 預金を単独では引き出せない
- 相互にチェックが働く
というメリットがあります。
2人いても防げない場合
しかし、一方で経理職員を2人にしたからといって、必ずしも不正が防止できるわけではありません。
業務が分断されている場合
ありがちなのは、2人が別々の業務を担当している場合です。
想定されるのは、業務別に経理職員を配置するケース。
会社が甲、乙2つの事業を行い、そこに職員A、Bを配置する場合です。
甲事業はAが、乙事業がBがそれぞれ担当する場合、外見では経理職員が2名いますが、実質的には1名体制です。
職員同士が対立している場合
職員が対立し、相互の仕事に口を挟まないという場合にも不正は放置されてしまいます。
Aは預金管理、Bは現金管理を担当している場合、預金と現金は連動するので不自然な動きがあれば発覚しやすいといえます。
しかし、AとBが職場内で対立し、口も利かないような場合、少しおかしな動きがあっても敢えて指摘をしないということもあります。
職員同士が近すぎる場合
一方、経理職員同士の関係性が近すぎるのも問題になるかもしれません。
お互いの業務が馴れ合いになると、「信頼」して称して形式的なチェックになる可能性もあります。
親しさも度を越すと問題です。
本日のまとめ
経理職員を2人体制にすることは、不正防止の点では重要であることは確かです。
一方で、単に2人をおけば、万事うまくいくものではありません。
- 職員間でチェックが働く仕組みづくり
- 職員の担当替え(ジョブローテーション)の実施
- 上司によるチェック
などとセットにしないと、単に経理職員が2人いるだけになってしまいます。