行政書士がインボイス登録事業者になるには

行政書士の消費税。
課税事業者になるのか、免税事業者でいくのか。
結論からいえば、課税事業者となりインボイス番号を取得するのが基本です。

なお、今回も記事タイトルは「行政書士」となっていますが、他士業、個人事業主の方にも共通する内容となっています。

消費税の課税事業者、免税事業者とは

本来は免税事業者

行政書士も事業者として消費税について考えなくてはなりません。

消費税の課税事業者となるのは、2年前(基準期間)の売上高が1,000万円を超える場合です。
これから事業をする場合には、2年前の売上高はゼロ。
従って、免税事業者、つまり消費税の申告も納税もする必要はありません。

これが原則です。

現実問題

消費税の申告・納付が不要となるのであれば、免税事業者できたいところです。
これまでは、行政書士に限らず、個人事業主は事業を開始してから少なくとも2年間は免税事業者でいることが一般的でした。

「これまでは」としたのは、2023年(令和5年)10月にインボイス制度がスタートしたためです。
インボイス制度のもとでは免税事業者はインボイスを発行することができません。
インボイスを発行するのであれば、課税事業者になる必要があります。

インボイスが発行できないことの不都合は、行政書士に支払を行う顧客側に生じます。
インボイスがなければ、仕入税額控除、つまり、消費税相当額を控除することができません(経過措置あり)。

顧客は、消費税の控除ができなければ、その分の消費税を負担せざるを得ません。
これを避けるために免税事業者であっても課税事業者となり、インボイス登録をする流れになっています。

インボイス登録をしない場合

制度上、インボイス番号を登録しないということも可能ではあります。
ただ、一般的には顧客に負担をかけることとなり、取引上不利な立場になることは避けられません。

顧客がインボイス登録事業者でなくても取引をしてくれるのであれば問題ありません。

あるいは、消費税の申告をしない一般消費者に対する業務であれば、インボイスは関係ありません。
実際に、個人客を対象とした学習塾、理美容院はインボイス登録をしていない方も多くいます。

ただ、行政書士の場合、顧客のほとんどは事業者となります。
取引実務として、交付することが一般的です。

手続

登録手続の詳細は、国税庁のHPを参照願います。

インボイス番号を登録するには、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を税務署に提出してインボイス番号を申請します。
提出にはe-Taxが使えます。
申請内容に不備がなければ、e-Tax申請の場合、1か月程度で登録番号の通知がきます。

インボイス発行事業者となった場合の注意点

2年間は課税事業者となります

適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)となった場合、2年間は免税事業者に戻ることはできません。

行政書士の場合、免税事業者に戻る可能性は低いのでこれはそれほど気にする必要はありません。

課税事業者選択届出書との関係

本来であれば、免税事業者が課税事業者となるには「課税事業者選択届出書」を税務署に提出します。
書類名に「選択」が入っているように、本来は免税事業者であるのに「課税事業者を選択」するという意思表示です。

ただし、インボイス制度導入時の経過措置として、免税事業者が2029年(令和11年)9月30日の属する課税期間にインボイス番号登録をする場合には「課税事業者選択届出書」の提出が不要となっています。

もちろん、課税事業者選択届出書を提出することは可能です。
ただし、課税事業者選択届出書を提出した後2年以内に一般課税で税抜100万円以上の資産(調整対象固定資産)の取得を行った場合、課税事業者の拘束が3年間に延長されます。また、その期間については消費税の2割特例を受けることもできません。
自動車、事務所設備の導入を検討している場合には、ご注意ください。

詳細は 国税庁HP「インボイス制度に関するQ&A」を参照ください。

本日のまとめ

インボイス番号が付番されれると「適格請求書発行事業者の登録通知書」が税務署から通知されてきます。

消費税のインボイス制度はかなり複雑な内容となっています。
十分注意して登録を行うよう、お願いします。