5月に行われた行政書士会の入会式では事務所の経理処理についても説明がありました。
事務所経理も行政書士にとって大切なこと。
今回は開業届について書いてみます。
なお、記事タイトルは「行政書士」としていますが、他士業、個人事業主の方にも共通する内容となっています。
開業に伴い必要となる税務書類
行政書士は個人事業主です。
開業した日から1か月以内に税務署へ開業届を提出します。
行政書士が開業するに当たって税務署へ提出する書類としては、
- 必ず提出する書類
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)
- ほとんどの人が提出する書類
青色申告承認申請書
課税事業者選択届出書(消費税)
適格請求書発行事業者の登録申請書(消費税)
- 従業員を雇用する場合に提出する書類
青色事業者専従者給与に関する届出書(家族従業員の場合)
給与支払事務所等の開設の届出書
源泉所得税の特例の承認に関する申請書
- 必要に応じて提出する書類
棚卸資産の評価方法の届出書
減価償却資産の償却方法の届出書
があります。
開業届とは
開業届とは税務署に対し、新たに事業所得、不動産所得、山林所得を生ずべき事業を開始したことを届けるための書類です。
行政書士の業務は「事業所得を生ずべき事業」となるので、開業届を提出します。
開業届は税法上必要なだけでなく、
- 屋号付き預金口座を開設するとき
- その他個人事業を行っている証明書類
として使用することになります。
なお事業の「開始日」とは、実際に業務を始めた日、例えば事務所を開き業務を開始した日などをいいます。
税務署への開業届の提出
e-Taxソフトのインストール
現在国税関係書類のほとんどがe-Taxを使って提出することが可能です。
国税庁は積極的にe-Taxの利用を推進しており、2025年1月からは書類受理時に押印していた収受日付印も廃止することになっています。
開業届について、書面提出することも可能ではありますが、今後行政書士として確定申告を行うことを考えると、ここでe-Taxを使ってみることをお勧めします。
ところで、e-Taxには、ブラウザ上で操作するe-Tax(Web版)と、パソコンにインストールするe-Taxソフトがあります。
所得税の確定申告はe-Tax(Web版)でも可能ですが、開業届はe-Taxソフトで行います。
国税庁のタックスアンサーのページです↓
e-Taxソフトのインストール方法については、こちら(国税庁HP)をご覧ください。
今回は、マイナンバーカードとカードリーダーを使って開業届を作成していきます。
e-Taxソフト起動後
では、e-Taxソフトがインストールできた状態から説明をしていきます。
e-Taxソフトを起動すると、最初にこのような画面となります。
ここはOKを押します。
これもOKです。
e-Taxソフトではほとんどの税金について申告、申請、届出が可能となっています。
何でも電子手続ができるのは確かに便利です。
とはいえすべての国税に関する書類を網羅すると相当なボリュームとなってしまいます。
そこで、e-Taxソフトでは、それぞれの納税者が必要な税目、書類を追加でインストールする方式となっています。
開業届は初期の段階でインストールされていないため「追加インストール」を行います。
所得税の届出なので追加インストールから「申請→所得税」と進みます。
インストーラーが起動するので、終わるまで少し待ちます。
インストールが終了したら左のメニューから「作成」を選び、画面にあるように「新規作成」を押します。
「新規作成」ボタンは画面の右下にあります。
開始届は所得税の届出になるため、
- 手続種類「申請・届出」
- 税目「所得税」
を選択します。
そして「次へ」を押します。
作成する帳票は「個人事業の開業・廃止等届出書」になります。
「次へ」を押すと「申告・申請等名」を入力する欄があります。
自分用のメモなので分かりやすい名前を入力します。
「OK」を押すと、マイナンバーカードのパスワード(4桁)の入力が求められます。
マイナンバーカードから基本情報が取り込まれます。
「帳票編集」を選択します。
入力画面に遷移します。
見た目は異なりますが、書面提出と同内容になります。
記入方法については、タックスアンサーを参照ください https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
作成が終わったら電子署名を付します。
「署名」ボタンは右下にあります。
ここでもマイナンバーカードを使います。
「認証局サービス名」は「マイナンバーカード」になります。
署名を付けたら「送信可能一覧」に書類が移るので、ここから送信します。
これで完了です。
送信結果は、メッセージボックスで確認できます。
「送信したつもりが送れていなかった」とならないように、必ず確認します。
都道府県税事務所・市区町村への開業届提出
税務署同様に、都道府県税事務所、市区町村(東京23区内の場合、区役所へは提出不要)へも開業届を提出します。
提出期限は、それぞれの自治体により異なります。
東京都の場合には、次のようになっています。
都道府県、市区町村へ開業届を提出している方は少ないと聞きますが、決まりごとなので提出した方が良いかと思います。
「みんなが出していないから」という他人基準にならないためにも。
本日のまとめ
ところで、税務署に提出する開業届には、
- 「青色申告承認申請書」
- 消費税に関する「課税事業者選択届出書」
欄があります。
青色申告、消費税に関する「課税事業者選択届出書」についても、後日ブログ記事を予定しています。
今後、行政書士(他の士業の方にも共通する内容)を随時掲載していく予定です。
(都道府県税事務所、市区町村への開業届については、こちらのブログ記事に書きました)