預金利息が入金されていたときの経理処理(個人事業)

先日、預金通帳を確認したら、普通預金に利息がついていました。
事業をしていなければ、預金利息についてそのまま放置で済んでいまいます。

しかし、個人事情主として帳簿を付ける場合、預金利息も記帳の対象となることがあります。
また、消費税の関係もでてきます。

なお、この説明は個人事業主のケースです。
法人の場合には、これとは異なる処理になります。

受取利息は利子所得

まず、大きな前提として、預金の利息を受け取った場合の所得区分は「利子所得」となります。

所得税では、所得の内容に応じて、「利子所得」「事業所得」「給与所得」などに区分していますが、そのうちの利子所得というわけです。

商品の販売、サービスの提供といった事業所得には該当しないため、帳簿には「売上」、「受取利息」などと記帳することはありません。

プライベートな口座に利息が入金された場合

個人事業主は、私生活と事業主の2つの顔をもっています。
事業をしているからといって、すべてが仕事に関係するわけではありません。

会計帳簿に記載されていないプライベートな預金口座に入金された利息については、会計処理は必要ありません。

そもそもプライベートな預金については会計帳簿に記載していないのですから、処理することもできないですし。

一般的な預金利息については、利子所得として源泉分離課税されて終了です。
確定申告に含めることもありません。

事業用口座に利息が入金された場合

事業用口座として開設した預金口座については、会計帳簿にも記帳しているはずです。

受取利息は利子所得に該当するので、事業所得で売上として計上することはありません。
先ほど書いたとおり、雑収入、受取利息とはしません。

ただ、何も記帳をしないと、預金残高が合わなくなってしまいます。

預金通帳を記帳したら、このように記載されていたとします。

8月10日の通帳残高は35,000円なので、会計帳簿の残高も35,000円となっているはずです。
受取利息を会計帳簿に何も記入しないと残高が一致しなくなります。

そこで会計帳簿にも、25円の記帳を行います。

受取利息については、消費税が関係してくるため免税事業者と課税事業者で扱いが異なります。

免税事業者の場合

免税事業者の場合、消費税は関係ありません。
そのため預金残高を一致させることだけを考えます。

次のように会計帳簿に記帳します。

「事業主借」を使うのは、事業所得の計算から除外するためです。
事業主からお金を借りて普通預金残高を増やしたというイメージです。

課税事業者の場合

課税事業者の場合、消費税についても考える必要があります。

事業資金の受取利息は消費税の対象となります。

出典 : 国税庁HP

そこで、会計ソフトへの入力時に消費税を考慮する必要がでてきます。
結果的には、次のような仕訳となり、事業主借とした受取利息の総額30円を消費税の非課税売上とすることになります。

手順に沿って説明します。

通帳の利息は税引後

まず、預金口座に入金された25円は、税金が引かれた後の金額です。
受取利息に対しては、

  • 所得税及び復興所得税 15.315%
  • 住民税 5%

が課されています。

先ほどの25円は税引後の金額です。

税金の計算と納付は、銀行で行っています。

預金通帳を見ただけでは、受取利息の総額がわかりません。
銀行によっては、通帳に税金の記載があったり、別途通知がされるかもしれません。
それ以外の場合には、自分で計算することになります。

総額計算の方法

総額を計算するのは、それほど難しいことではなさそうです。

25円÷(1-(0.15315+0.05))で計算できそうです。

この算式で計算すると31.3735円となりますが、これはそのままでは使えません。

  • 所得税及び復興所得税 利息総額×15.315% → 円未満切捨て
  • 住民税 利息総額×5% → 円未満切捨て

という端数処理をしているためです。

手取利息が25円の場合、

30円×15.315%=4.5945→4円
30円×5%=1.5→1円
30-(4+1)=25円

と計算されています。

先ほど逆算して計算した金額31.3735円をもとに、31円、30円あたりに見当をつけて正確性を確認する必要がでてきます。
そうすると、31円ではなく、30円だという結論にたどり着きます。

ちょっと面倒だと思われた場合、カシオの計算サイトが便利です。
https://keisan.casio.jp/exec/system/1533863526
こちらに入力すると計算してくれます。
ただし、念のため検算をすることをお勧めします。

総額を事業主借、差額を事業主貸

ここまで計算できたら、上記会計帳簿のように

  • 受取利息の総額を事業主貸

として計上します。

  • 手取金額との差額は事業主借

とします。
事業主借は所得税と住民税とを分けて入力する必要はありません。

受取利息の総額は非課税売上

最後に受取利息の総額、今回の例でいえば、30円は消費税の非課税売上となります。
なお、事業主借とした5円については消費税は関係ありません。

本日のまとめ

事業用口座に入金された受取利息は、消費税が関係してくると少し面倒に感じます。
金額も少額で、年に2回あるだけの取引です。

ただ、面倒と思って先送りしてしまうと、帳簿がいつまでもスッキリしません。
記帳したら、早いうちに入力を済ませてしまいましょう。